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心と科学  作者: 酒井順
13/19

第13話 内側に向かって

 どうやら、直接的に脳のことを考えることは難しいようだ。そうはいっても主観や客観について考えても難しい。最終的には主観だけが残るような気がする。


 僕の所有するものは、役に立たないことがわかっている。それが現時点で世界最速だとしてもだ。自分自身が「それが何を意味するのか」知らない。1つの答えを得るために、いくつもの手段が存在する。所有するものはその1手段に過ぎない。いくつかの手段の中で比較し、それが最速だとしても意味はないのだ。その手段が何を意味しているのかを知らなければならないと感じている。できることだけが大切だとは思わない。


 ここで所有するものが何かを明らかにするのは簡単だが、それでは意味を掴めないと感じている。続編のない完結した物語のように先がないのだ。その物語が売れていれば、胸を張って完結したと言えるかもしれない。しかし、例えるとすれば、所有するものは売れなかった完結作品のようなものだ。完結作品は僕の心の中で業火となし、その火の粉が自殺願望の一因となった。


 完結作品が示唆していた側面から意味付けをしていきたいと思う。

「複雑さは内側にある」

ここから始めたいと思う。


 凸図形と凹図形を考えたとき、両図形ごとに全ての頂点から全ての頂点に線を描いてみる。すると、いくつもの線分ができる。この図形をグラフ理論では完全グラフと呼んでいる。このとき、線分同士が交差する交点を数えてみる。凸図形は必ず決まった法則で交点の数を教えてくれる。しかし、凹図形は交点の数が頂点の数によって異なってくる。その数は凸図形と比べて少なくなる。交わるか交わらないかという意味で、ON/OFFを示すといえないだろうか。


 凸図形はそのものが外周となるから考えないとして、凹図形の完全グラフから外周を構成してみると、外周に含まれる頂点の内側に残された頂点がみつかる。だから凹図形と呼ばれていて当然のことなのだが、ここに突破口があると感じている。


 内側に残された頂点が増えると、交点の数が変わっていく。この交点の数の法則を考えているが未だ見つかっていない。多くの頂点があるとき、内側の頂点の位置取りによってあたかも回路が示されているように感じる。


 所有するものが示唆するのはここまでである。しかし、単純な平面図形でさえ回路様を示すのだから、立体図形や細胞、その集合体、そして脳はそこにあるだけで回路を形成していると考えてもおかしくないと思う。


 シナプスによって繋がっていないからといって、ニューロン同士が無関係であるとは限らない。少なくとも重力によって相互に関係しているはずだ。繋ぐものが均一でないからといって、継がりを妨げるものではないと思う。


 そこに見えているのに解明できないものが存在する。人類はタンパク質や核酸を人工的につくることが未だできないと認識している。電子顕微鏡で視ることができるのに何故なのだろう。もっとも、できるからといって合成して欲しいとは思わない。意味もわからず合成されて人類に致命的な蛋白毒を撒き散らかされては迷惑だ。


 合成できない理由の1つにタンパク質は折り畳まれているため、内側を視ることができないことがあるのかもしれない。


 わからないことばかりであるが、少しずつ考えて行きたいと思う。考察は今始まったばかりだ。


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