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訓練場に雷鳴が轟き渡る。
アシュベルが槍を振るうたび、稲妻が奔り、フィールド全体を白光で包んでいた。
悠真はその光の中で幾度も痺れ、膝をつきかける。
歯を食いしばりながらも立ち上がる姿に、観客席がざわついた。
「クラッシャーが押されてる……!?」
「十支族の力はやっぱり別格だ……!」
教師陣も表情を硬くする。
「単なる出力じゃない。雷を纏わせ、同時に相手の動きを奪っている……」
「これが“十支族”の格だ」
悠真(……体が……思うように動かない……!)
雷槍が閃くたびに、腕が痺れ、足が鈍る。
拳を振り抜こうとしても、雷壁に阻まれ弾かれる。
アシュベルが冷笑を浮かべ、槍を振る。
「どうした、その拳。鉄壁や黒瀬を砕いた拳でも、雷には届かないのか?」
観客は悲鳴に近い声をあげる。
「やっぱり十支族には敵わないのか……!」
――その時、悠真の脳裏に今までの試合が蘇る。
戦いの中で叩き込まれた対戦相手の気持ち、観客の叫びが背中を押す。
悠真(……負けられない。俺はこの学園で何かを、俺自身も変わりにここへ来たんだ!)
雷鳴が轟いた。
アシュベルが必殺の構えを取る。
「――雷鳴衝撃!!」
槍が地を裂き、稲妻が一直線に奔る。
空気そのものが震え、結界が悲鳴をあげる。
観客「終わった……!」「防ぎようがない!」
教師「ここまでか……!」
だが、悠真は痺れる体を無理やり動かした。
肩をひねり、槍の軌道を寸前で外す。
「――砕けぇぇッ!!!」
雷を浴びながら拳を振り抜く。
その一撃は稲妻を切り裂き、アシュベルの懐を突き抜けた。
轟音。
雷光と衝撃波が同時に爆ぜ、フィールド全体が閃光に飲み込まれる。
観客「うわあああああっ!!!」
「見えない!どうなった!?」
砂煙が晴れたとき――。
アシュベルは胸を打たれ、数メートル吹き飛ばされて床に倒れ込んでいた。
雷槍は転がり、静かに火花を散らしている。
数秒の静寂。
次いで、場内を揺るがす轟音のような歓声。
「クラッシャーが勝った!!」
「十支族を砕いたぞ!!」
「一年でここまでやるのか……!」
教師たちも顔を見合わせる。
「本当にやりやがった……」
「これは歴史に残る一戦だ」
倒れ伏すアシュベルは、気絶寸前に苦笑を浮かべる。
「……強いな。俺も……まだまだ鍛錬が足りないか……」
そのまま意識を手放した。
悠真は荒い息をつきながら、拳を見下ろす。
(……勝った。本当に十支族に……俺の拳が通じた……!)
拳には、赤み一つ、傷一つなかった。
だがその事実が、むしろ彼の胸を重くする。
(この力は、化け物のものじゃない……俺自身の拳だ。そう証明してみせるんだ……!)
審判の声が響き渡る。
「勝者――相原悠真!!!」
観客総立ち。轟音のような歓声が訓練場を揺らす。
悠真は拳を握り直し、その熱狂を背に静かに立ち上がった。




