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「今日は模擬戦を行う。まずはチーム戦形式だ」

担任の一言に、教室が一気にざわついた。

悠真たち、一年生は観客席に集められ、広大な訓練場を見下ろす。

地元の体育館なんて比べ物にならない広さ。フィールドには障害物や瓦礫が配置され、まるでダンジョンを切り取ったかのようだった。

(……これが、実際の舞台か)


模擬戦開始

「対戦するのは二年生だ」

実況役の教師が声を張り上げる。

チームAは、攻撃型・支援型・防御型のバランス編成。

チームBは、攻撃型2人に加え、瞬間移動のようなトリッキーな異能を持つ生徒。

「開始!」

その号令と同時に、戦場が動いた。



攻撃型が真っ先に飛び出すと、支援型が瞬時に強化魔法を付与。

「速っ!」

観客席から声が上がる。

防御型は巨大な壁を展開し、味方の前進を守りながら前線を押し上げる。

一方、チームBの瞬間移動使いが背後を突こうと現れるが、防御型が即座に振り返ってカバー。

「……連携が完璧だ」

悠真は思わず息を呑んだ。



「支援型のタイミング神すぎ!」

「防御型、反応早っ!」

クラスメイトたちが興奮して叫ぶ。

外村も拳を握りしめていた。

「俺も壁出せるけど……あんな風に決まらんぞ!」

案の定、クラス全体が爆笑。

「守るどころじゃねぇ!」と誰かが突っ込む。

朱音が小さく笑いながら「外村くん、もっと練習したら?」と優しくフォローしていた。



「……これが二年かよ」

「やっぱ上はすげぇな」

周囲が感嘆する中、悠真は拳を握る。

(俺には……こんな戦術できそうにない。今まで全部、一人で拳を振るっただけ。仲間に合わせるなんて……考えたこともなかった)

クラスが「俺たちもチーム組もうぜ!」と盛り上がる一方、悠真の胸には焦りが募るばかりだった。



そのとき、隣にいた凛が静かに口を開いた。

「連携は、信頼の証。……力を制御できなければ、背中は預けられないわ」

悠真は胸を刺されるように感じた。

(……そうだ。俺は、仲間の背中を守れるのか? それとも……また壊してしまうのか)



模擬戦は僅差で決着。勝者は支援と防御をうまく活かしたチームAだった。

「二年の時点でこの完成度かよ……」

「やばすぎる」

観客席が拍手と歓声に包まれる。

悠真は静かに拳を見下ろした。

(俺は……一人で戦うことしかできないのか? それとも――仲間と並び立てるのか?)

胸の奥で、答えの出ない問いがぐらぐらと揺れていた。



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― 新着の感想 ―
チームなんか要らんやろ。殴られても無傷で美肌なんだから。
また壊すってまだ組んだ事ないやろ
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