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「今日はここまでだ」

担任の声が響くと、訓練場にざわめきが広がった。

「……マジで壁、粉々になったよな」

「“軽く”とか絶対嘘だろ」

「やばすぎるって、あれ」

生徒たちの視線が一斉に悠真に注がれる。居心地の悪さに、悠真は慌てて両手を振った。

「い、いや、ほんとに軽くやったんだって!」

「じゃあ本気出したらどうなるんだよ」

「訓練場ごと吹き飛ぶんじゃね?」

笑い混じりの冷やかしと、半分本気の畏怖。クラス全体が浮き足立っていた。


そこへ、腕を組んだ黒瀬 蓮が悠真の前に歩み出た。

短く切りそろえた黒髪が揺れ、鋭い眼差しが突き刺さる。

「……お前、さっきのが“軽く”なわけないだろ」

悠真は「いや、その……」と口ごもる。

黒瀬はさらに踏み込んだ。

「偶然であの威力が出るはずがない。……いずれ、俺と模擬戦やろう。お前がどんな奴なのか、この目で確かめたい」

周囲が一斉に「うわ、来た!」「校内ランキング戦もそろそろだもんな」と盛り上がる。

「ちょ、ちょっと待ってくれよ! 俺は別に……」

悠真の弁解はざわめきにかき消された。


「いやいや、その前に俺の壁を試してくれ!」

外村 一馬が胸を張って割り込んでくる。

「俺の結界なら、お前の拳も止められるはず――!」

バキッ、と勢い余って床に出した防御壁にヒビが入る。

「おい今壊れただろ!?」

「まだ俺、殴ってないからな!?」

爆笑するクラスメイトたち。悠真も思わず苦笑した。


「相原くん、本当に制御できてるの?」

白鳥 朱音が心配そうに声をかける。柔らかい光をまといながら、怪我したら治す準備ができているような雰囲気だ。

「だ、大丈夫……のはず、です」

「“のはず”って何よ……」

「まあまあ、今日は初日だろ」

真田 陽翔が場を収めるように笑顔で言った。

「焦る必要なんてないさ」


ふと横を見れば、天城 凛が静かにこちらを見つめていた。表情は読めないが、その瞳には真剣な色が宿っている。

(……やっぱり、この人は普通じゃない)

彼女の内心が、視線の強さから伝わってくる気がした。


担任が一歩前に出て、ざわめきを抑えるように言った。

「力をひけらかすのが目的じゃない。ここは学ぶ場所だ。……相原、次の実技では模擬戦もある。そのときに、力のすべてを示せ」

「……はい」

悠真は緊張混じりに頷いた。


クラスが解散し、廊下を歩く中でも視線を感じる。

「クラッシャー相原、次は誰とやるんだ?」

「黒瀬と戦ったら絶対盛り上がる」

期待と畏怖が混ざった空気が背中にのしかかる。

悠真は拳を握りしめ、胸の奥で呟いた。

(……怖い。でも、ここから逃げたくはない。この学園で――俺は前に進むんだ)



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― 新着の感想 ―
やっぱり分からん。主人公の普通の基準がなんなのか。
PvPしたら相手ミンチになる奴
もういっそ吹っ切ってアラレちゃんみたいに地球を割れば良いと思う
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