表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/186

33

投稿予約時間を間違えてました!!!


 教室の空気は、以前とは少し違っていた。

「相原、また潜るの?」

 そんな声が飛んできても、どこか探るような調子が混じっている。

「……まぁ、軽くね」

 俺は笑って返すけど、胸の奥はざらついたままだ。

(距離を取られてるのは分かってる。でも……俺は俺で、やれることをやるしかない)

 放課後。ギルドに顔を出すと、受付の職員がニヤリとした。

「おう、相原くん。また来たか。……頼むから、今日こそ武器は壊さないでくれよ?」

「……はは、気をつけます」

 苦笑しつつレンタル剣を受け取り、浅層ダンジョンへと足を踏み入れた。


 モンスターは相変わらずのスライムやゴブリン。

 だが、剣を振るえばすぐに軋み、数分もしないうちに――バキィッ!

「またかよ……」

 結局は拳を握りしめ、まとめて叩き伏せるしかなかった。

(……普通に戦おうとしても、普通にはなれないんだよな)


 視界の隅でコメントが流れる。

《クラッシャー安定w》

《拳で解決》

《また壊した》

 最近はこうしたネタ扱いが増えてきた。

 けれど、中には――

《なんでこんなEランクにいるんだ?》

《これ、マジで異常だろ》

 冷静な分析もちらほら混じり始めている。

「……俺は、まだEランクでいたいんだよ」

 小さく呟いた言葉は、誰にも届かず闇に溶けていった。


 

 帝都探索学園の広大な訓練場でも変化が起きようとしていた。

「……あの時、私の結界は砕かれた」

 天城凛は深呼吸し、再び光の結界を展開する。

 仲間たちもそれぞれ修練に打ち込んでいた。

 雷撃を操るアシュベルは苛立ったように放電を繰り返し、他の十支族も黙々と力を研ぎ澄ませる。

「あんな強さ、見たことなんてない……。あの“人”でも……」

 誰かがぽつりと呟く。

 

 凛は手を止めず、瞳に決意を宿す。

「負けない。彼がどんなに特殊でも、私は私の全力を高める」

 十支族には十支族の使命がある。だからこそ、立ち止まるわけにはいかなかった。


 一方その頃。

 探索を終えた俺は、街の夜景を眺めながら歩いていた。

(帝都探索学園からのスカウト……本気で考えないといけないのかもしれない)

(でも……ここを離れたら、今の俺は“普通”からもっと遠ざかってしまう)

 拳を握りしめると、まだ温かい余韻が掌に残っていた。

(この力に答えを出す時が……近づいている)

 同じ夜。帝都の空を見上げた凛もまた、拳を握って呟いた。

「次に会うときは――必ず」

 まだ遠く離れた場所で、二人の決意は同じ空に溶けていった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
E級でいいんなら、ボチボチ地元でソロしてれば良いんでないの?何がしたいのか全然わからん
凛だっけ?あれに近づきたいとか言ってる時点で普通なんて無理じゃないの?言ってることやってること思ってること全てに矛盾があるんだよなぁ。
>「おう、相原くん。また来たか。……頼むから、今日こそ武器は壊さないでくれよ?」 >>「ただし! Eランクになったからには、武器を壊したらちゃんと料金いただくからな!」 15話でEランクからレンタル武…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ