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 ――空間が悲鳴を上げた。

 天井を貫いた光柱の中心が、黒く沈み始める。

 渦を巻くように光が引き込まれ、そこに“穴”が現れた。

 黒――しかし、それはただの闇ではない。

 吸い込むたびに、奥から別の世界の“景色”が覗く。

 岩盤の奥にさらに洞窟、そしてその向こうにも層が続く。

 まるで“もう一つのダンジョン”が、こちら側へ顔を出しているかのようだった。

 アシュベルが目を見開く。

 「……あれは、なんだ...新宿ではないダンジョンのようだが...」

 天井と地面の区別が崩れ、世界の上下が混ざり合っていく。

 その時、空中に淡い光が点滅した。

 電子音混じりのノイズが走り、通信が再接続される。

 『……こちら異界観測局。対象層、視認可能。』

 ノヴァの声が響いた。

 「……見えるか。“門”が形成された。

  我々の世界のダンジョンと、そちらの世界のダンジョンがリンクしたようだ。」

 その言葉に、場の空気が一気に凍りつく。

 悠真が顔を上げ、鋭く問う。

 「お前たちの世界と、こっちのダンジョンが繋がった……?」

 ノヴァ「――あぁ。原因はお前だ。」

 悠真の眉がわずかに動く。

 その声音には、怒りではなく、確信が混ざっていた。

 「……そうかよ。」

 拳を握り直し、目を閉じる。

 「なら、責任も取ってやる。」

 だが、彼の決意をかき消すように――

 天井の“穴”が、さらに大きく開いた。

 渦の中心から、黒い霧が噴き出す。

 空気が悲鳴を上げ、魔力が逆流する。

 霧の奥で、何かが“動いていた”。

 大地のような脚、甲殻のような体表、そして紅い光を放つ眼。

 凛が青ざめた声で叫ぶ。

 「これ……反応が違う! これは――生物よ!」

 「モンスター……!?」

 異界のモンスターたちが、光と闇の狭間から這い出してきた。

 翼を持つもの、四足で壁を登るもの、触手を引きずる影。

 そのどれもが、地球側の法則では存在できない“異形”だった。

 ――同時刻、地上・帝都探索学園ギルド管制室。

 「新宿ダンジョンからエネルギーが溢れています!」

 「新宿ダンジョンからありえないほどの魔力反応を検知!」

 オペレーターたちの悲鳴が飛び交い、モニターが次々と赤く染まる。

 「魔力波、地上に到達しました!」

 「ゲート座標が拡張中です! まるで……何かが出てこようとしている!」

 管制官が叫ぶ。

 「結界を全層展開しろ! 全異能部隊に通達、地上迎撃準備!」

 だが――モニターに映るゲートの奥。

 暗闇の中から、異様な“手”がゆっくりと伸びてきた。

 爪のような指先が、ゲートの光を掴み、押し広げる。

 その動作ひとつで、ゲートが軋みを上げた。

 現場が静まり返る。

 誰もが、画面の中央を見つめていた。

 「……来るぞ。」

 その言葉が合図のように、地上の空が再び裂けた。

 光柱が消え、代わりに“闇”が溢れ出す。

 ――門は、完全に開かれた。

 そして、その瞬間、二つの世界が“繋がった”。




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