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 朝の空気は、妙に張りつめていた。

 学園地下のブリーフィングルームには、各国の代表と学園チームが集まっている。

 白い照明の下、ホログラムの地図が壁面に投影され、中心には“第十三層封鎖区域”の文字。

 空気が一段冷えた気がした。

 ギルド局員が前に立ち、淡々と説明を続ける。

  「封鎖区域――第十三層以下は、過去半年間で観測史上最も強い魔力密度を記録しています。

   異常個体は“再活性”状態にある可能性が高い。

   各チームは交戦よりも、観測・撤退判断を優先してください。」

 その言葉に、わずかにざわめきが走る。

 椅子の背もたれに体を預けたレオン・グレンデルが、

  「観測優先って、つまり触るなってことか?」

 と口の端を吊り上げる。

 ギルド局員が苦笑いを浮かべて答える。

  「ええ、破壊報告は不要です。……できれば。」

  「できればか。燃えるな。」

 リュシアン・アルヴェルデが横から小声で笑った。

  「あなたが燃えたら、全部焼けるじゃない。」

  「焼けても形が残るなら、アートだろ。」

 アーサー・シルヴァは眼鏡を押し上げ、

 ホログラムの地図をじっと見つめていた。

  「魔力密度の値……理論上、空間が歪むレベルだね。

   それでも“封鎖解除”の許可が出た。つまり――」

  「Eランクがいるから、でしょ。」

 リュシアンが笑みを残して肩をすくめる。

 悠真は椅子の背に寄りかかり、

 ぼんやりと壁のホログラムを眺めながら心の中でつぶやいた。

  「……要するに、“見に行くだけ”って話だな。

   まぁ、壊す前提で動いた方が早いけど。」

 すぐ隣で凛が書類を閉じ、顔も上げずに言う。

  「お願いだから、今回は壊さない方向で。」

  「わかってるって。」

  「信じられない。」

 悠真は苦笑しながら、肩をすくめた。

 リーメイがそんな二人を見て、

  「でも結局、壊すことになるネ。きっと。」

  「やめろ、縁起でもない。」

  「経験則よ。」

 場の空気が少しだけ和んだが、

 壁際の警備員たちは誰一人笑っていなかった。

 ホログラムの光が彼らの表情を照らす。

  「……それでは、各チーム、出発準備を。」

 ギルド局員の声に合わせて、

 椅子が次々と音を立てて引かれる。

 それぞれの国の“理”が、

 ひとつの場所へと向かって動き出す。

 ――封鎖区域、第十三層へ。



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