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 昼休みの学園ホール。

 ざわめく人波の中心に、巨大な電子掲示板が立っていた。

 赤い文字が点滅する。

 《国際探索者交流演習 代表者名簿》

 その下に並んだ名前は、たった4つだった。

 > 相原悠真

 > 天城凛

 > アシュベル・フォン・アイゼンリヒト

 さらに、留学生代表としてもうひとつの名前が追加されている。

 > フォン・リーメイ

 周囲が一気にざわついた。

 「十支族の中に混ざってるクラッシャー、流石だな」

 「ダンジョン探索が目的なんだっけ?」

 「そうらしいよ。異常魔石の調査とか言ってたな」

 悠真はその声を背に受けながら、静かに掲示を見上げた。

 光を反射するスクリーンの中に、自分の名前が淡く浮かぶ。

 (異常個体の調査……結局、あの魔石に戻ってくるのか)

 胸の奥に、静かな感触が広がる。

 不安でも興奮でもない。ただ、これから起こる“何か”を受け入れるような覚悟だった。

 「…何事も起きなければいいけど。」

 小さく呟いたその声に、すぐ隣から柔らかな笑いが重なった。

 「あなたが言うと、逆に何か起きそうに聞こえるわね。」

 振り向くと、凛がいた。

 いつも通りの穏やかな微笑。けれどその瞳には、わずかな緊張が宿っている。

 「発表、見た?十支族の中に名を並べる一年生なんて前代未聞よ。」

 「大げさだな。俺はただ、異常個体の調査に同行するだけだ。」

 「“同行”ね。ランキング戦で十支族を圧倒していたあなたが中心みたいなものじゃない。」

 悠真は少しだけ苦笑した。

 「俺は……確かめたいんだ。」

 「確かめたい?」

 「今まで発見されてなかったモンスターの出現、異常個体の魔石、俺のこの身体能力上昇の力。なにか関係あるんじゃないかって。」

 しばらく沈黙が落ちる。

 ホールのざわめきが遠くなり、二人の間だけ時間が止まったようだった。

 凛は窓の外に目を向け、少し笑いながら言った。

 「そう。たしかに可能性としてはあるかもしれないわ。あなたってもしかしてモンスターなの?」

 「縁起でもないこと言うなよ。」

 「ふふ、国際探索者交流演習楽しみね。」




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