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プロローグ

初めての投稿となります。よろしくお願いします。

俺の名前は相原悠真あいはらゆうま

中学三年生。高校受験を控えた、ごく普通の男子だ。

この世界では、誰もが一つは「能力」を持っている。

火を操る者。風を呼ぶ者。光を放つ者。

だが俺のは、その中で最低ランク。Eランク《身体能力上昇》。

走るのが少し速いとか、荷物をちょっと楽に持てるとか。

全員に配られる“初期装備”みたいな能力で、つまり俺は平凡の象徴だった。


その夜も、特に変わったことはなかった。

母さんの作った唐揚げを食べて、テレビをぼんやり見て、風呂に入って、寝る。

いつも通りの一日。

明日は模試だ。早めに寝て備えよう――そう思って、布団に潜り込んだ。


 ……そして。

 眠ったまま異世界に転移していた。


「……む?」

 漆黒の玉座の間。炎の川が流れ、空気は硫黄に満ちている。

 その中央で、漆黒の鎧を纏った巨人――魔王が玉座に座っていた。

「何者だ、貴様……いや……?」

 視線の先に、俺がいた。

 だが俺は布団に包まれたまま、すやすやと寝息を立てている。

「……な、なんだ? こやつ……死んでいるのか?……」

 魔王が眉をひそめ、立ち上がる。


 そのとき。

 俺は寝返りを打った。

 ゴトリ、と足が巨大な斧に触れる。

 ガチャン、と音を立てて斧が倒れ――

「おい! それは――!」

 魔王の絶叫と同時に、玉座へ続く大橋が崩れ落ちる。

 足場を失った魔王は、炎の川へと真っ逆さまに落ちていった。

「ぐぉぉぉおおおおおお――!!」

 爆炎。轟音。

 魔王の巨体はそのまま炎に呑まれ、消え失せた。


 その瞬間。

【LEVEL UP!】

経験値を獲得しました。



ステータスを更新します。




 俺はまだ夢の中。

 だけど視界には半透明のウィンドウが浮かんでいた。


◆相原悠真(Lv1 → Lv???)

【能力】身体能力上昇(E→S)



【筋力】 120 → 9,999,999


【体力】 110 → 9,999,999


【敏捷】 100 → 9,999,999


【魔力】  50 → 9,999,999


【知力】 100 → 9,999,999




 俺は知らない。

 この世界には「ステータス」という概念は存在しない。

 数値の意味も、変化の理由も、すべて。

 ただ一つ――俺の身体能力が、桁外れの“バケモノ”に変わったことだけが事実だった。


 そして次の瞬間、布団ごと俺の身体はふわりと浮き――

 気づけばまた、自分の部屋のベッドの上にいた。

 朝の光が差し込み、目覚ましがけたたましく鳴り響く。

「……あー……眠い」

 大きなあくびをしながら、俺は何も知らないまま、いつもの一日を始めた。



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― 新着の感想 ―
スーパーマリオかーい!
魔王が情けなさすぎて笑ったw
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