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5話 模擬戦



午後の武道場。

そこに響くのは、緊張と静寂、そして剣の気配だった。


トランとゴールが、模擬戦の構えを取っている。


「はじめ!」


ゴールの取り巻きの一人が合図をかける。

その瞬間、空気が変わる。

時間の流れが変わるように。





「かかってこい。平民」

ゴール冷静な声が静まり返った武道場に響く。


トランは歩くように前に出る。

ごく普通の散歩のように。

そして。


「はっ!」

なれない突きでゴールの体を狙う。


しかしーー


カン!


明瞭な金属音が散る。

ゴールがその一撃を綺麗に剣で弾く。



(スッゲ……!あんなキレイに防げるんだ!)

トランはゴールの剣に驚いていた。


ゴールは強かった。

幼いころより父親からの厳しい稽古、英才教育をしこまれ騎士学校でも上位の実力を持っていた。



「それで終わりか?口ほどにもない」

ゴールはトランを嘲笑う。

しかし、ゴールの目はトランを笑っていない。



「こちらから行くぞ!」


「はっ!!」


鍛え上げらたゴールの剣がトランを襲う。


トランは剣を盾にかろうじてゴールの剣を防ぐ。

先程まで勢いよく攻めていたトランだが、防戦一方に追い込まれる。


(やばい!防ぎきれない!)


次の瞬間ーー


ドン!


ゴールの剣がトランの腹部とらえる。

息を吐き出すトラン。


「かっは!!」


トランは腹部を押さえ膝をつく。

ゴールの前で"膝をつく"トラン





「さすがゴール様!!」

「ゴール様最強!!」

ゴールの取り巻き達が称賛の声を上げる中、

トランはぴょんっと立ち上がる。


「もう一度だ!」


その声には陽気さが漂う。


「何度来ても同じこと!こい!」


再び剣を構えるゴール。



そして――


その戦いは続いた。

何度も。


トランはゴールの剣を受け何度も"膝をつく"。

しかし折れない。


「頑丈なところは……褒めてやろう!」

ゴールは内心トランのあまりのタフさに驚いていた。ここまで立ち上がるとは。




「お前強いな」

ふいに、かけられた言葉。

トランはゴールを真っ直ぐな言葉で称えた。

まっすぐで、無垢な。




「っ……。」

その一言が、なぜか心の奥に引っかかった。今まで誰からも言われたことがない飾りのない言葉。“お前強いな”






その時ーー



「ゴール何やってるんだ!」


声とともに、ある生徒が武道場に駆け込んでくる。


「一回生の模擬戦は禁止されてるだろ!」



「パルか……」


パルを見るゴール

、そして視線をトランに戻す。



「……ふっ。」

ゴールは満足そうに笑う。



「お前たち行くぞ」


取り巻きたちを引き連れ、ゴールはその場を去る。


「ちょっとゴール!!」

止めに入った生徒ーーパルがゴールを呼び止めるが、ゴールは無視して立ち去っていった。



「……」

武道場に残されるトランとパル。


「あっ!キミ、大丈夫?」


パルは倒れているトランに手を差し出す。


「ありがと」


トランはパルの手を取りなんとか起き上がる。


「いててて……」


ゴールに打たれた場所をさする。


「君は確か……平民の….」


「あっ!ごめん!」


パルは慌てて口を塞ぐ。


「ん?どうした?」


「いや、なんでもないよ。気にしないで」


気まずそうに笑うパル


「名前は……トラン君だったかな?」


「トランでいいよ」


「……」


パルはトランをまっすぐみる。


「トラン、模擬戦は校則で禁止されていることだよ。なんでゴールと模擬戦をしていたんだい?」


「えっ!模擬戦禁止なのか?」


そんなトランに呆れるパル。


「ちょっと!生徒手帳に書いてあるだろう!?」


「オレあんまり字読めないから。読んでないんだ。」


サラっと、不思議ないことを言うトラン


「そうなんだ。ごめん。」

パルは失礼なことを聞いてしまったと謝る。



「なんであやまるんだ?」



「えっと……」


言葉に詰まるパル


だがその時、トランの表現が変わる。


「あっ!やべ!」


「飯の時間だ!」


「オレ行くわ!いろいろありがと!」


顔色を変え、突然走り出すトラン。


「えっ……」


一人残されるパル


「字があまり読めないって、どうやって試験受けたんだ?」


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