時を操る婦人像 瓦解編 XI
ロマンチック忍者は手裏剣をとりだすと魔力がたまる寸前までみきわめて高速で投げた。
質量をまし鋭利な刃は剛三の前腕をとらえた。
『ちょこざいな!』
ふんっと瓦礫をもちあげなげつける剛三、それをうしろから五本の玄できりきざみショットガンのようにして浴びせかける。
『無駄に候え』
ゴホゴホと咳き込むロマンチック忍者は自分の異変に気づき始めた。
キノコが肺に感染したのだ。
ふつうの無害なキノコは人間の抵抗力(免疫)に勝てないので、 吸い込まれてもやがて死滅してしまいますが、スエヒロタケは人間の免疫に耐える力が強いので、 生き残ってしまうことがあり、古い結核や慢性気管支炎などで、肺の免疫が弱い人は感染してしまうというおそろしい攻撃を剛三はしかけていた。
剛三と高値はマスクをいつのまにか着用していた。
『なん・・・だと!?』
『スエヒロダケは魔力をよく吸収する。つまりきさまの肺に感染している胞子が発芽し傘をつけたとき、きさまは自分の魔力で肺が自壊していくことを傍観せざるをえないということだ』
『ふむ、だがしかし、某に対策があるで候』
『賢者の盾と矛』
『某の最終奥義』
賢者の盾と矛、二律背反とは。
正命題、反命題のどちらにも証明できる矛盾・パラドックスのことである(しばしば勘違いされるが単なる矛盾・パラドックスではない)。字義通りには、二つの法則が現実的にであれ見かけ上であれ相互に両立しないことを意味し、これは論理学や認識論で使用される術語である。
『起きている現実と仮定の現実的。両方の理論を成立させ矛盾させることですべて白に戻す能力で揃え』
『感染しない免疫力をもっていたと仮定する!』
時空が歪むといえばただしいのか空間がねじまがりながらロマンチック忍者の肺付近にはいっていった。
するとキノコの胞子がとりのぞかれ、正常な状態に戻った。
これが国家崩壊クラスのツノバヤシの実力であった。
1戦力としては個で国家を転覆させる程度の力をひめたツノバヤシであることを意味する。
それを相手にしているのだからChronosの幹部も相当な手練れであることは明白だった。
『そこまででR』
『ジュポン!ソワール!シルブブレでR』
戦闘の最中あらわれたのはまがまがしい赤黒いオーラを放ち電機を迸らせている幸運鄕ジェノバがすなぼこりをたてて一瞬で姿をみせた。
『そこまででアール、わがはいのプランを逸脱してもらっては困るのでソワンでR』
『なにもんだてめぇわ!』
『わがはいは神の反逆者ジェノバでR』
『そこまででR』
『説明は不要、死にたくなければてを引くでR』
剛三と高値は汗をたらりと垂らした。
冷や汗だ。
『いやだといったら?』
ゴゴゴゴとぎおんがつきそうな劇画チックな風貌にかわる。
『いったのでアール、死にたくなければといったのでR』
圧倒的なまでの戦力さを感じていた二人を尻目にそれではおいとまいたす、と一言残してロマンチック忍者は消えていった。