時を操る婦人像 瓦解編 IX
『ふむ、そのゆうきとやらが某の大切な人だと申すのだな?そしてアイリどのにとっても重要な役割を果たしていると?』
はっこりゃ、傑作。と笑ってみせたロマンチック忍者。
『ゆうきはあなたにとって掛け替えのない存在だったはずよ。あなた固執していたもの。必要なまでに』
『ならば我が忍が里につたわりしタロット占いで見通してみせよう』
イギリスでは19世紀初頭から魔術書の出版が盛んで、オカルト知識の普及が進んでいたが、フランスで発展したオカルト・タロットについては知られていなかった。
相手や自分の心理、問題の原因や障害、過去から現在の状況、物事の展開や未来の可能性まですべてをみることができるのがケルト十字展開法による占いだ。
+ l ←のように9枚のカード並べて行う魔術の一種だ。
一枚目・現在の状況
質問者が今どのような状況に置かれているかを示します。
二枚目・障害と対策
現状に対して対立するもの、乗り越えていくものを示します。正位置で解釈します。
三枚目・顕在している事柄・意識(可能性)
表に見えることで、これから問題に対してどうなるか、可能性を示します。
四枚目・潜在している事柄・意識
表には見えていない、現状に対して問題の根っこにあることを示します。
五枚目・近い過去
現状に対して影響を及ぼした過去のことを示します。
六枚目・近い未来
現状から近い未来で起こる可能性があることを示します。質問者の立場や状況
質問者が占う内容や問題に対してどんな関わり方をしているかを示します。
七枚目・質問者以外の人
質問者以外の人物の心理や状況などを示します。
八枚目・質問者の願望
理想や恐れなど質問者の問題に対しての態度を表します。
九枚目最終結果
質問に対する最終的な結果を示します。他の9枚のカードと合わせて読み取ります。
このように
カードの出た絵柄によって物語を創造しなぞっていくことで占うのだ。
9枚カードをくばり机におくロマンチック忍者。
現在の状況:ペンタクルキング障害と対策
(キーカード):ソード10(正位置で読む)顕在している事柄・意識:ペンタクル9潜在している事柄・意識:ペンタクルクイーン(逆位置)近い過去:悪魔近い未来:世界質問者の立場や状況:恋人達(逆位置)質問者以外の人:ペンタクル8(逆位置)質問者の願望:ワンドのペイジ最終結果:ワンド10(逆位置)
『黄色は「祝福」、青色は「知恵」や「精神
性」を表しているでござる。これらのカードのいろのかたよりからみるに、知恵と精神による祝福を受けている可能性が高いでそうろう』
『それでそれで?』
目を輝かせながらロマンチック忍者にきくアイリは少女の眼差しそのものだった。
『過去の位置に悪魔のブラックよ!黄色と青だけじゃない、ブラックも!キーカードも背景がブラックになってるじゃない!』
『なかなか筋がいいですね』
『ブラックは「限界」とか「警告」を意味しており過去に、2人の間でちょっとした束縛とか、とらわれていたことがあったのかな』
『そのとおりよ!すごいわね!占いって出鱈目だとおもってたわ!』
『人物のカードは第三者が絡んでくる可能性をしめしている。ペンタクルクイーン、キングはきっとこの2人の関係をかき混ぜるので候』
『3枚目と4枚目は対になっていて、潜在しているもの、顕在しているものを表しているでござる』
『そこまでわかるのね!』
『保守的な彼が一人で結婚に対して期待や理想を抱え込んでしまうと、2人の関係は困難に。
でも、やれるだけのことはやってきたので、今までよりもっと2人が互いに分かち合っていけば、結婚という祝福された未来に向かっていけると読み取れるでござる』
『詳しくは、はしょり申したが現在地は特定できなかったがアイリ殿とゆうき殿は引かれ会う運命にあるといえるで候』
ロマンチック忍者の秘術はアイリの嬉しいとおもえる方向に結果をもたらした。