時を操る婦人像 瓦解編 Il
軍人ホスト会にはいっていたマコトはゆうきをさがすなか、アイリを遠くから見守っていた。
そう、ずっと遠くから。
『ホ、ホストになればアイリも俺のものになってくれるはず。ワインも六葉のクローバーもある。あ、アイリちゃんの誕生日をこれでいわうんだ!』
マコトの愛は歪でよどみきっていたが、矛盾してピュアでもあった。
彼女は幸せにならなければならない。そう、心に誓いどんなかたちであれ、彼女が幸せであればいいと思っていた。
あの日までは・・・。
日に日に衰弱していくアイリをみて、行方不明になったゆうきを憎んだ。何をしている、アイリちゃんはゆうきがすきなんだぞ。僕じゃなくて君だ。君が幸せにしろ!じゃなかったら、この世の地獄を見せてやる。
『へへ、アイリちゃんのためならなんんでもす、する』
だから、それいがいのことならゆるしてよね!
それが生き甲斐だった。
必死になって探した。
刀を召喚する能力を使って何人ものひとを殺した。
みつからなかった。
でも、情報はみつかった。
無名でアイリちゃんに伝えるため匿名の手紙を出した。どうやら信じてくれたらしい。
そこからはどうやるか知らないが見つけたらしい。
すると、とんでもない化け物みたいになって白髪で筋肉だるまでまるでけものだ。
そんなのがアイリちゃんにふれるなんてゆるせない。
でも、凄く二人は幸せそうだった。
でも
でもでもでも
心のモヤモヤがとれないんだ。
おれはどうしたらいい?
(アイリヲジブンノモノニシロ)
そうか、そうだ。
アイリちゃんは俺が幸せにするんだ。
ひたいのツノバヤシがそう囁いて精神に干渉した。ホンのわずかな亀裂だった。
ぐちゃぐちゃになっていた心は正常な形にもどろうとして亀裂が走り脆くつたない精神は歪な形へと姿を変えた。
そうだ
俺がしあわせにすればいいんだ。
殺そう。
ゆうきを殺す。そうだ!それが正しいんだ。
『汚れきったゆうきは許されないことをした。悲しませた上に獣のようになるだなんて、絶対にゆるせない』
確実にやる。
アイリをかなしませた罪は重い。
そう思い込むことで心の均衡をたもとうとしたのだ。二人が幸せになりしつれんしたことに気づいたマコトは行動に移った。