時を操る婦人像 奪取編 XIl
『まず手始めに汚れきった汚職政治家たちの暗殺だ』
パチッと手を叩くと映像が壁に投影された。
『殺害予定のものたちだ。やつらは汚れきっている、証拠は山ほどある。しんで当然の連中だ。しんで国を良くできるなら本望だろう』
歩きながら演説を続ける羽生。
『彼らは地下で未だに私腹を肥やし権力を握って子供たちに好き勝手させている』
シュッとふりかえる羽生。
『それでいいのか?いいわけないだろう!』
『誰かがやらねばならん』
『我々がやらずして誰がやる?』
そこで本題だといってこうべをたれると、礼節をもって二人にお願いした。
『仲間になってくにを良くしていこうではないか!手始めに君たちには拠点潰しの懺悔もかねて暗殺をおこなってもらいたい!』
『イヤだね・・・!!』
藤堂は手で顔をおおうとためいきをついた。
『第一に暗殺の方法はどうすんだよ?』
『その心配はいらない。一切証拠は残らない』
『氷に魔力を込めるとどうなると思う?』
『わからないな』
『氷は溶けないようになり、硬くより冷たくなるのだよ』
『その性質を利用して氷の弾頭をつくったのだ。我々はこの弾丸を氷の悪魔とよんでいる。氷の弾丸が地獄への呼び水となる』
『なるほどね。理解はできたよ!でも、やっぱり殺しはしたくないよ』
ふっと羽生は笑うと案外と付け加えていった。
『あまちゃんなんだな。侮っているわけではない。戦闘において不殺とはかなりの重荷となる。殺意というハードルをこえるにはあまりにもおもい』
『勘違いしないでくれ。おれのわがままで殺したくないってだけだ。やらなくちゃならなければやるよ。俺は』
『望外だぁ!悪くないですよ。あなたにはやってもらいます。アイリさんが大切でしょう?』
『てめぇ?なにかしたら・・・!』
『ただではすみませんか?ふっ羨ましいよ純愛のようだね』
『私を敵に回してまで守りたいものがあるのでしたら、仲間になって保護をうけるのもまたひとつのてではないでしょうか?毒を食らわば皿までというでしょう』
二人が丁々発止とやりとりをしていると、藤堂はなにかを考え込むように目を閉じて黙想していた、覚悟を決める侍のように。