時を操る婦人像 奪取編 IX
地下施設をいくつかもっていたChronosだが、シェルターどうしを繋ぐ通路が一本開通しつつあった。
魔法石を先端に取り付けた掘削機で削岩して穴を掘っていく作業をしている作業員たちがいた。
落盤しそうになったとき、ゆうきが現れ焔切によって落石を破壊して救助した作業員が感謝をのべた。
『あ、ありがとうございます!』
『こんな場所だからこそがんばってね!』
『は、はい!』
颯爽と立ち去り通路を駆け抜ける藤堂とゆうき
、アイリはユキと別どうしている。
『この先にやつらの拠点があるはずですよね』
『あぁ、そうだが。なんかすまないことをしたね。バイトがあるといったのはワタシだ。責任を感じている』
『いやぁ藤堂さんは悪くないですよ。それに力もてにいれた。試練だったのかもしれないといまでは思えます』
『そうか。ありがとう』
二人は照れ臭そうに握手してハグをすると急いで拠点の方へと向かっていった。
道中警報器が作動して退くかどうかで話し合いをしていると訓練された小鬼をつれた緑の騎士が姿を見せた。
『悪いね!君たちには礎になってもらう。すまんが、しんでくれ』
音速のレイピアがソニックブームをおこし突進してくる。
ゆうきは手甲で軽くいなして力の進む方向をわずかにそらし、大きく軌道をかえさせた。
『もし、俺があの実験でこの体をてにいれてなかったら、まずかったろうね』
左手で軌道をかえ、弾いたそばから右手のフックでボディに強烈な一撃をみまった。
だが、激しく空気の壁を叩いただけだだった。
残影を使い影をのこして躱してみせた。そのご、分影剣というスキルで一瞬で10の刺突をおこなったが、ゆうきは左へと足を伸ばし蹴りの反動で高速移動して回避した。
壁の補強を行っていた作業員たちが、さきほどの壁への衝撃で揺れて怯えている。
ハイゴブリンたちは低級の、火炎玉や水壁の魔法で支援しようとするが緑の騎士が激怒した。
トンネルないで水や炎魔法をつかうのはご法度である。火炎は空中の酸素濃度を著しく低下させ、水分は補強されていない壁の崩壊と崩落を招く。
『だから知能のひくい魔物は邪魔なだけだといったのだ。倫理観的にみてもよろしくない』
壁の崩壊がはじまると作業員たちがしたじきになりかけた。
瞬間、緑の騎士がゆうきの拳を避けるタイミングと一致した。騎士は次のパンチで頭を粉砕されたがその時に防壁の魔法を作業員たちにかけていたのだ。その一瞬が命取りとなり倒れることとなるのだが、緑の騎士の鎧は地下労働者の間では都市伝説のように語り継がれていくことになるがまたべつのはなし。
緑の騎士は死ぬ間際『ボッ』といっていたので、ぼっさん教という宗教が地下で密かに誕生したのであった。
ぼっさんはアイリとともにスチームパンクの異世界で成功者になりたいですにて登場します。よろしければそちらもみてください。多少本作品のネタバレになるかもしれませんが、この後の世界です。




