時を操る婦人像 奪取編 Vll
『はぁ、きみはまたここへきたのでR』
幸運興はそういうとため息をついた。
『おれ・・・また死んだのか』
『死んだ・・・というよりかは仮死状態といったほうがただしいのでR』
『あっそうなのか・・・なんかさっきからボソボソと呼ばれてる気がするんだけど』
『気のせいではないでR』
『よばれてんのか』
精神の世界でゆうきは何かを思い出そうとしていた。
『わかんねえや』
『まあいっか・・・!なんかここ凄い落ちつくし』
『うーん、きみは思い出した方がいいのでR』
ふわふわと空中でRの文字になる幸運興。
『そういわずにさ、ちょっとつきあってくれよ』
『しかたないのでR』
お茶をすすりながら老人の姿になった幸運興は黄金銃を引くと召喚したテーブルにおいて寛ぎだした。
『おれは子供の頃からなにか特別なものになりたいって漠然と考えてたんだ』
『ふむ、よくある話でR』
『だから、特別なことしてるやつらがきらいでさ、眩しく見えてさ、よくネットで批判的なことかいてたんだ』
葉巻を吸いながら頷く幸運興。
『だから、今特別な存在にちょっとでもなれたかなっておもってて嬉しかったんだ』
『きみは充分すぎる程に特別でR』
『そっか、ありがと!誰かに認めてもらえるのって久しぶりなきがっ』
涙がポロポロとこぼれおちるゆうき。
『アイリひとりぼっちじゃんか!』
『ゆうきっ!!』
映画館で没入しているときにエンディングで現実に戻される間隔に陥る。
『そうだ!!アイリがいる!』
現実サイドでは5分ほどロマンチック忍者があばれる、ゆうきを相手にしていた。
『ゆうき!!!』
『アイ・・・リ!』
右フックのパンチがアイリの横顔をとらえる寸前だった。髪の毛が風圧で靡いた。
『ごめんよ・・・!おで・・・もうどこにもいかないがら・・・!』
『うんうん・・・』
二人で泣きじゃくる。
ロマンチック忍者は失った方脇腹をかばうようにへたりこみ言った。
『よかったでござるな』
光を徐々に失っていくロマンチック忍者。
『恋人ごっこたのしかったでござるなぁ・・・』
『ロマンチック忍者ぁああ!』
泣きっ面に蜂とはこのことで、じぶんがやってしまったということに気づいてからは涙腺のダムが決壊してしまった。
アイリもつられてなきにないた。
30分が過ぎた頃、荒れ果てた涙が地面に水溜まりを作ったとき、ガワンバとレオンがおりてきた。
『すこし臭いが違うが、ゆうきか久しいな』
『あぁレオンさん、お久しぶりです』
『ロマンチック忍者が死んだか』
『はいっ・・・!!』
レオンは首をくいっとさせるとついてこいといった。
とぼとぼと巨体を引きずっていくかのようにあるく、ゆうき。
『時を戻すがいい』
『でも、あそこはChronosの支配下じゃ』
『ワレも手を貸そう』
『仕方アリマセンネ王ガイクノデアレバ我モ』
『ありがとう・・・!』
こうして時を戻す決意をしたゆうきであった。
ナイトリーは実験材料にされ殺されてしまったことを研究員の会話でしり激怒したゆうきは意識を失い、ついにツノバヤシとしての人格が覚醒した。




