時を操る婦人像 奪取編 V
実験が繰り返されて一週間が過ぎた頃、ロマンチック忍者はゆうきが帰ってこないことに不安を感じていた。
藤堂にきくと怪しい闇バイトに応募して消えたらしい。
『情報を辿っていくで候』
『ゆうきはどこにいっちゃったの!?』
ヒステリックに陥るアイリ。
『いゃぁぁあ。これ以上失いたくないわ!』
過去の記憶がフラッシュバックする。
ツノバヤシによって二重人格になってしまい、それでおこした大量殺人の記憶。
『いやぁぁあああ!』
『おぇっぷっ』
ロマンチック忍者の横で嗚咽するアイリの心境は陰惨なものだった。
『あぁぁぁぁ!!』
脳ミソを結晶化させて吸いたい欲求にかられる。
同時に自分に嫌悪感を抱く。
意味のない葛藤が延々と続く。
『おかしくなっちゃいそう』
(なりなさいよ・・・!)
『やめて!お願い消えて!』
(解放するのよ・・・!)
『いやっ!!』
視界がくもっていくなか霧がかかったようにみえなくなっていくが、ゆうきの笑顔がそれを雲散霧消させた。
晴れ渡った視界にみえたものは、ロマンチック忍者の尻だった。
ブビビっと放屁するとロマンチック忍者はアイリの顔を両手で包んで言った。
『そなたはゆうきの事がすきなのであろう!?ならば助けて・・・!探して見せろ!気を確かにもつのだ!』
『あぁ・・・!そうね』
私らしくないわね、と言うと頬をパチッと自分で叩いた。
『さがしだしてみせるわ!』
『そのいきでござる』
一日がたって、軍人ホスト会の人員を使って情報を集めたロマンチック忍者はアイリに報告する。
『いたぞ。埼玉の北部に地下室があるらしい。おおまかないちしかわからないが、そこをしらみ潰しに探すしかない。軍人ホスト会も協力してくれるそうだ』
『ありがとぅ・・・!』
涙目になるアイリ。
『おっとっと。泪はためておくで候う。あったときにながすのですよ!そなたは笑顔が似合う』
そういうとアイリの頬にエーデルワイスの花を添えた。
『エーデルワイスの花言葉をしってるかい?』
『なに・・・?』
『勇気だよ』
『へへぇ・・・』
ちょっぴりロマンチックな気分になったアイリはロマンチック忍者の胸元を笑顔で軽く叩いた。
『ありがとっ!』




