時を操る婦人像 始動編 I
意識が戻ったときにはすでに事は終わっていた。
『どうなったんだ・・・』
腸のとびでた肉塊がふたつ、倒れこんだ死体らしき人のすがたがみっつ。
『あ、あぁぁぁああ!』
断片的に再生される記憶。
イシスとバハムートのコンビ技によって窮地に陥った面々。
アイリが殴打され倒れる。
微動する藤堂がバハムートによって顔面を粉砕される瞬間。
そこからは自分が自分でなくなった。
自分の事を俯瞰していた。
一瞬だった。
ふたりのことを肉塊にかえるほどの火力の暴力。
ブラウン管のテレビをとおして、砂嵐の映像をみている感覚。
はいた。
胃の内容物を全部だし終わる頃、ゲートにつながれていた転送先から婦人像が輝いて見えた。
起こった出来事を理解しきる前に、あの像の研究資料に時を操るとかいてあったのを思い出した。
『とにかく急がなきゃ』
『頭が痛い』
記憶がうすれていく感覚に陥った。
速くしないと。
輝く婦人像に魔力を注ぎ込む。
周囲の風景が高速再生された映像のように写し出される。
説明できないが魔力を使い確かに時を遡っている感覚がする。
ついた!
ここは三時間前の研究所!
自分がもどったのではなく、時がもどったのだと、ふたりの自分がいないことで把握した。
『婦人像に魔力を流してみると錫杖が輝き出すんだ』
前田がいった。
『時間がっ・・・!』
『時間がどうしたんだい?』
しどろもどろになるゆうきを余所目に怪訝そうにする前田。
『あんたちょっと変よ。おちゃでものみなさい』
『あっありがとう』
あったかいおちゃをのんで頭を整理するゆうき。
『ここがばれてるんだ!信じてくれ!デビルオクトパスの連中が来るんだ』
『はぁ?ついにあたまいかれたの?』
『どこからの情報だい?』
『いやっ出所はいえないんだけど、とにかく信じてくれ!』
藤堂が訝しげにみやると、頷いていいった。
『迫真だな。しんじよう。どうすればいい?』
『むかえうつべきです!』
『そうだな。逃げても無駄だろう。ここがわれるということは、どこにいっても追跡されるだろう』
四人はレオン達がくるのをゆうきがいいあてると、信じたようで迎撃する準備を整え始めた。




