イシス佐竹とバハムート石塚、それとロリータ
立ち尽くしていると幻覚と幻聴がしてきた。
『の?なんじゃぬしよ?わしがみえとるのか?』
『なんだ・・・ここ・・・!?』
ゆうきはありえない光景をまのあたりにしていた。
ばぁさんのような声をしたロリがはしゃいでいるにも関わらず、先ほどまでの光景が一寸たりとも動かずにとまっているのだ。
『ここは主の精神世界じゃ。ツノバヤシティでうけた、時の魔力の残滓が影響しとる。あとはあの婦人像じゃな』
はてはて、といいながらすっとんきょうな顔つきではなしかけてくるロリータ。
『ありえない・・・!』
『そうじゃろなぁそれが普通の反応じ』
じゃ。といおうとした時。
『ロ、ロりばばぁだとぉおお!?』
『そこかいな!?』
『幸運卿のかすかな香りがするとおもったら、おかしなやつのもとにたどりついてしまったのじゃ』
くらりと揺らぐ視界の中で、しかし鮮明な意識をたもったまま、脈絡のない会話のドッヂボールは続いた。
『おまえはなにものだ!』
『そう!それ!せいかい!それがききたかった!』
えっへんと無い胸をはって主張しているのは悪辣結社バットカンパニーの黄金卿リトルハニー甘露というロリババ、ならぬロリータであった。
表向きはメイド喫茶をやっているが、きゃくをいざなうのはぁまぃ夢の国黄金郷を魔力でひたひたにしたハチミツをのませて幻覚を見せているBaばぁ、ロリータである。
『神の意志に従いなんじらを幸運卿の魔力から解離させにきたのじゃ』
幸運卿には銃でうたれたにがいおもいでたけが、ゆうきにはあった。
『思考がおいついとらんじゃろ、じゃがよくきけ、でなければみをほろぼすぞぃ!』
『イシス佐竹とバハムート石塚、この二名がそこにおる暴漢どもじゃ』
『二人とも藤堂という男と同等の身体能力をもっとる。エゾレートでいえば4000万エゾはくだらん』
視界の隅からすみへと行き来するロリばばあ。
『お主の愛するアイリはしぬぞ?』
そう聞こえた瞬間すべての音と感覚が消えた。
『きゃーっ!』
アイリが倒れこんだ瞬間であった。
身体がいうことを聞かない。
どうすればいい・・・。
(簡単だ)
分からない。
(解き放て)
『あ、っああっあああ!!!』
おかしくなっていく自我にかすかにかおる幸運卿の魔力の香りがしたきがした。