時を操る婦人像 導入編 IV
レオンとガワンバとチンパン人、五人の7名をつれて魔界へいくことになった。
魔界へは特別な丸太をつかわなければとおれない渓谷があり、するりするりと抜けていくとGorillaManがおそってきたがレオンががおっとほえるとドラミングしながらきえていった。
林をぬけ1キロほど歩くとトンボと馬のまざった魔族が現れた。下半身は人で上半身は馬、目はトンボで複眼になっておりその目の数はイエバエは2,000個、ホタルのオスは2,500個、トンボは2万個前後といわれている。
『ヒヒーン』
『知能があるとはおもえないな』
『処分するぞ』
藤堂が一閃、振り抜いた刀は魔族薙いだがきれはしなかった。
『かてぇ』
馬トンボは突風の魔法をつかうといななきながら蹄でパンチをはなってきたので藤堂は刀でいなした。
蹄と刀がかちあう回数が数十回になったころ決着がついた。
藤堂が馬トンボの目をきりおとし命をうばったのだ。
『あぶないところだった』
レオンたちは胸を叩いておとをならしながら決着の鬨の声をあげた。
『やるな、たんぱつのけんし』
『人間ニシテハヤル』
頷くチンパン人たち。
『デビルズクローはどこにあるのだ?』
『もうすこしいくと、なげきのたににつく。そこでさくはながデビルズクローだ』
『よし』
藤堂は拳を握りしめ心のふんどしをひきしめた。
ゆうきはやっぱ藤堂師匠は侍だぜぇと感心している。
慟哭の使徒がなげきのたにからわいてきた、さまざまな昆虫やどうぶつが混ざった異形のものたちである。
理性と知性が乏しく凶暴で残忍だ。
少し進むと大きな滝があった水しぶきが虹をさかせていて幻想的である。
そこにいたのがバイキンマンの中島敏樹だ。
今回の細菌はVNC菌といい、乾燥や冷凍など色々な条件に置かれ、ストレスを受けたために増殖できなくなった状態の細菌であり、ただし、増殖しないだけで、死んでいるわけではありません。生きていることは、呼吸活性があること、菌本来の核酸(遺伝子)が正常に存在してタンパク質の合成を行っていることから解ります。この状態になったものをVNC菌だというのだが、不浄なる存在だというのも事実であった。
自然界には極めて多種類かつ多数の微生物が生息していますが、その大部分(90%以上とも言われています)はまだ私たちの眼で確認することはできません。それはまだ培養ができないのです。ここでは「生きているが培養ができない= viable but non-culturable(VNCあるいはVBNCと略します。
それを体内で培養しているのがバイキングマンの神秘であったが、今だ理論は解明されていないようだ。
『VNC菌さえあればゆうきとかいうおとこたちもこわくないなぁゲシシシ』
『ここでたくさんくって繁殖させてつよくなってやるからなぁ!』
『みつけた!あいつ!ぼうしょくのつみ!』
バイキンマンは補食活動に専念していたためまわりにきをくばれてなかったのもあって醜態をさらしてしまってトサカにきていた。
『ムキーッッ!許すまじゆうきたち!』
『おこっているぞ、おそろしいおそろしい』
レオンは暴食の罪バイキンマン中島敏樹に心底畏怖していた。形容しがたいその醜悪さによって動物の危機センサーが作動していたのだ。




