時を操る婦人像 導入編 II
悪魔の巣にはいってからは周囲に常に気をつかっていたが、すぐさまサイレンのような高音の周波数のノイズが鼓膜をついた。
『なにこれ!?』
『集合!密集体型!』
『押忍!』
すぐにかたまり四方向をみわたせるように背中合わせになるゆうきたち。
『バフをかけます!』
『戦気高揚、無二無三、勇往邁進』
『すげぇ!身体からちからが漲ってくる!はねみたいにかるい!』
『さすがね!矢野さん!』
ブレイブメン矢野のバフのおかげだステータスでいうところのstr.vit.agi.dexが30%上昇した状態になった。
『なにかくる?』
北の方角からきたのは恐れを知らないペリカンの魔物暴虐の悪鳥だった。
そして、同時に南からきた魔物は恐るべきアホさの魔物終焉の災厄鳥
スカーレットペリカンはペリカンの頭に人のからだがついている毛深い魔物だ。恐れを知らず山ですらのみこもうとするバカさと無知さは比類なき恐怖に違いなかった。
ジエンドオブダチョウとは脚だけ人間でダチョウの胸にてがはえている魔物で好戦的であるにも関わらず知能の低さ故に味方と敵の区別もつかず攻撃してはしりまわるというやっかいな存在だ。
『すまん!ペリカンの人!』
ゆうきをまるのみしようと嘴でからだをはさんだスカーレットペリカンは1トンの圧力でゆうきを圧殺しようとした。
圧力がつたわるまえに天叢雲剣の鞘のそこにしこんだ装置で爆発的に加速させて抜刀した。
はんぶんにわれたスカーレットペリカンは戦利品を落として塵となり、アイリにむかっていったジエンドオブダチョウは敵味方くべつできず、アイリのよこをかけぬけてひたすらはしってきえていった。
『幻覚でもみてんのかとおもうな!』
『えぇ、まったく同意だわ』
『気を抜くな!隠密かつ迅速にいくぞ!』
『了解』
野道をつきすすむと集落のようなものが見えてきたので、両手で双眼鏡のようにし覗くと遠視のスキルでとおくのものがみえる藤堂が確認した。
任務はまだまだ序盤だがこれからのみちのりが険しくなることは明白だった。




