蝿の王・ヴェルゼブブと進化した存在
『貴様には死すら生ぬるい、生き地獄をあじあわせてやろう!』
蝿の王ヴェルゼブブは配下を集合させ密集体型をとると人形になり、魔力で自身らをコーティングして質量を鉛だま以上の重さにした。
『突撃ぞぉー!!』
『しゃらくせぇ!全て叩き落としてやる』
羽が空気を叩く音とハエを高速連打で叩き落とす金属がぶつかり合う音で周囲のガラスが全て割れて四散した。
万難をはいして準備してきたソウシは拳の武器マナフィストガンを作動させた。
拳のかたちをした金属の武器に、にわとりの魔物であるコカトリスが冒険者から食べた拳銃を拳の武器と融合させて作ったまさに拳銃マナフィストガンである。
銃身からはなたれた魔力でコーティングされた弾丸は条例で禁止されているダムダム弾でハエにぶつかると炸裂し、周囲のハエを殺した。
『アァー!なんてことでしょうぞぉー!ゆるぜんぞぉおおー!!』
『まってる人がいるんでな!』
ウィンクするとソウシは起爆剤となる焔の拳で蝿の王ヴェルゼブブを焼き殺そうとした。
『無駄ムダむだ無駄ぞぉー!!』
蝿の王ヴェルゼブブは飛来する焔をすべてかわしたが配下が焼かれ死んでいく様に苦悩した。
『貴様だけはゆるさん!!』
『いてぇっ!』
なにごとかとおもうと首にちくりと痛みが走った。ジンジンするそこの傷跡からは高速で魔力をすってソウシの肉体を糧に羽化したウジ虫ともいえる蝿の王ヴェルゼブブの子供キングヴェルゼブブが誕生したのだ。
『あっあっあっ!』
ソウシは悲鳴にもならない声を出しながら自身の状態を把握した。
これ以上魔物を増やしてはいけない。
そうかんがえたソウシは自らの体に焔をまとい回転しながら地面に激突した。
羽化しかけたキングヴェルゼブブは殺せなかったが、体内に植え付けたあとうごけなくなっていた蝿の王ヴェルゼブブは殺すことができた。
その衝撃でソウシは絶命しかけた。
『すまねぇ、ゆきちゃん幸せにできなかった・・・おれ、だせぇかな・・・?』
壊れかけたインカムから小さく聞こえた最後の声がソウシを少しだけ救った。
『かっこいいです!』
なきじゃくりながらユキがそういった。




