幸運狂とよばれる漢
夢の中をさ迷っていた。
ゆうきとアイリは白濁した意識のなか、夢の国にかどわかされていた。
ビールの噴水に焼き鳥の柵!クッキーの道にワインの滝、食のディズニーランドだった。
『アイリ、おれどうかしちまったのかな』
『いいえ、これは夢よきっとそう』
『痛みも味覚も再現されてるがこれは現実じゃないのか』
ツノバヤシの寄生虫がたまにみせる宿主への影響で明晰夢をみるのだ。
半分意識が覚醒した状態がつづく。
ゆうきはアイリのアイリはゆうきの夢をみていた。
『なんか興奮してきたぞ、下半身がうっ』
『気持ち悪いもん想像させないで』
ゆうきのマゾとしての気質が再度開花する。
『あぁもっと罵ってください!メンタルもフィジカルも極限までいじめてください!』
『だからきもいって・・・』
うんざりした様子で頭をかきむしるアイリをよそめに、ゆうきは興奮しつづけていた。
『あれ、おもえば角がないな、これはゆめか!ひゃっほーそらとぶぞぉーぶいーん』
ジャンプすると体が浮遊感に襲われワイヤーでつるされたかのように上へと飛んでいった。
そのままアイリにおおいかぶさると腰をふりつけこすりつけまくりはてた。
『うっ・・・なんだろう罪悪感がない、何度でもいけそう!』
『なんでそんなことするわけ?』
『つい興奮しちゃって夢だからいいかなって』
『まぁなんか悪いきはしないわっ』
頬を染めてアイリは女の子の顔をした。
『チッ。ちがうんだよなぁ、もっとツンとしてもらわないとそそらないんだよ!』
そうこうしていると空中に漢が現れた。
『ウェルカム諸君!わが夢の国ゲスニーズランドへ!』
『なんだおめぇ、夢にしても控えめにいって気持ち悪いな!』
『ショック!傷つくわぁいまのひとこと!ユウ!だまりなさい!』
幸運を運んでくる男となのると通称、幸運狂であると告げた。
『傷ついたのであなたを処刑します!』
すると男の背景に銃が複数召喚された。
『幸運銃連弾!!』
弾丸がゆうきの肉体に銃創をつくり穿つと幸運という幸運がおしよせてきた。
幸運の津波である。
銃創はなくなり、アイリはドSに磨きがかかりゆうきのことをすきになった。
宝くじはあたり彼女ができた。
幸福の壺をかったような効果だ。
ゆうきは喜んだがひとつ疑問が残った。
現実にもどったら俺、ショックでしんじまうんじゃないかと。
幸運狂をなのる漢はいった。
『あほか、現実にも反映されるっちゅーねん!』
『そんな都合よくいくはずがない!』
『説明はめんどくさいけどしといたるわ』
明晰夢のなかでツノバヤシたちはつながっているのだ。意識を共有し魔力を共通利用することで一体化してしまう夢と現実のさかえめが曖昧になる現象が起きると。
それは快楽によって莫大な魔力を生産することのできるツノバヤシだけが行うことのできる脅威の魔法であった。