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ゆうきの傷跡、短い過去編
ゆうきは身寄りのない子供だった。
母は若くして病死、父は酒にあけくれ虐待とギャンブル。
牛乳配達を毎朝していた。
そんな日々のなか父親が事故に遭った。
意識不明の重体でいつしんでもおかしくなかったのだ。
そこをひきとって我が子のように育ててくれたのが爺さん婆さんだった。
老人からは心のそこから敬意と愛情をそそいでそだてられたのだが、10歳になると老衰で逝ってしまった。
そんな彼だからこそゆるせないことがあった。
理不尽なことはたいていうけいれてきたが、これだけはゆるせないってことがある。
老人にはやさしくしなきゃいけないんだということだ。
故にきれた。心のそこから憎悪したのだ。