悪魔対悪魔対悪魔
『ジーちゃんもバーちゃんもしんじまったのかよぉ!?』
動揺するゆうき。
鉛筆をかりて削りすぎたことをわらってゆるしてくれたばーちゃんも、けしごむをかしてくれて使いすぎたのにおこられたジーちゃんもしんでしまったと理解した。
ゆうきを尻目に藤堂はどう対応するかに錯綜していた。
『ゆるせねぇよ!』
ゴブリンの子供を殺したことを思い出していた。
『ヤンの野郎によぉ!子供や老人達の痛みをあじあわせてやらねえと・・・』
絶対にゆるせない悪があった。
自分が自分であるために。
声を大にして叫んだ。
『俺が一体なにものなのかもわかんねぇよ!』
『そうね、虫酸が走るわ』
二重人格に近いアイリは覚醒状態と通常状態で人格の差位があった。いかれた人格と普通の人格が共存しているのだ。
『ころしちゃえ!』
『やめて』
『いいの好きにして』
『やだやだやだ』
『ヤンの脳みそ食べたくないかなぁ』
『あぁぁぁぁぁああ!!!』
アイリの角が脈打つ。
『あーららぁ、こわれちゃったぁ!み・た・い・ね!』
全身をあおい焔がつつみこみ覚醒状態になるアイリ。見た目は変わらないが魔力の総合力が大幅に上昇している。
『わたし、あいりたんのことだぁいすきだったんでちゅよ』
体をみずからまさぐりつつ、覚醒者の人格がアイリを愛撫する。
『あぁーんたまらないわぁーん!シ・ゲ・キ・テ・キ』
『じーちゃんばーちゃんによぉ!地べたはいつくばってあやまらせねぇときがすまねえよ!!』
藤堂に避難するよう指示するユキ。
『やむをえんな、離脱する』
鍛えぬかれた四肢を駆使して脱出した藤堂。
『あぁ?死なねぇ程度に殺してやるからかかってこいやぁ!』
『下等な猿が!きえうせろ!』
ヤン教授だった覚醒者が聖書を巨大化させユウキになげつけたかとおもうと、すぐさまそのうえから連打をくわえて圧殺しようとした。
強靭な二脚が重みに耐えながら地面に沈み混む。
『だからよぉ・・・毎度毎度耳障りなんだよなぁお前の言葉がさぁ!』
ブチキレそうな血管が角とともに脈打つ、激しく、ただひたすらに激しく。
ジャーマンスープレックスの要領で聖書を放り投げるとヤン教授にむかって角から汁を飛ばした。
魔力のこもった水滴だ。
対象に触れると即座に分子が振動し増殖する。
大量の水が超高圧の水刃となってヤン教授の左腕を切り落とした。
『雑種ぅー!ゆるさんぞぉ猿、さる、サルー!!!』
十字架のネックレスを空中に放り投げると、光り輝き魔力が充填されていく。
『重罰断罪!!!』
巨大化した十字架が回転しながら落下していく。
魔力をともない重く、より重く。重力の凶器となって。




