ゴブリンの正体
学園ではさまざまな魔物がかくりされており、コロシアムというドーム状の施設で生徒との実地戦闘訓練がおこなわれている。
ヤン教授はゆうきたちにその訓練をさせることにした。
『訓練だってさ!おれたのしみだなぁ!魔物すきなんだよ!』
『げぇぇー趣味悪いわねぇやっぱあんたって変態ね』
『我々の業界ではご褒美でございます!ありがとうございます!』
『二人とも私語はほどほどにな』
いさめる藤堂をしりめにはしゃぐゆうき。
『それでは、みなさんにはゴブリンとの戦闘をしていただきます』
ヤン教授にそういわれるとゆうきがまずまえに出てコロシアムの観客席からなかへととびこんだ。
『おれがいっちばーん!』
『やれやれね』
轟音とともに柵がひらくと、なかから武装した重装備のゴブリンがいったいでてきた。
鎧の効果で腕力の上昇しているゆうきはゴブリンに突進するとふりかざす武器をパリィし破壊した。すぐにボディブローを脇腹にぶちこむとたおれこむゴブリンにとどめをさそうとした。
『おにぃ・・・ちゃん、たす、け・・・て・・・』
涙目でそういうゴブリンを容赦なくたおしたゆうきだが、何かふにおちないとかんじていた。
『いやぁ!見事見事!ゴブリンは希少なので、たおさずにとっておいてほしかったですが、かれも主にめされて喜んでいることでしょう!』
『彼・・・?』
『彼は虐待という純粋なる悪意で虐げられ殺された子供の魔物です!いわば邪教の徒!』
『うそ、だろ・・・』
『まだ子供じゃねーか!どうにかしてやれなかったのかよ?!』
『シィーット!言葉がなっていませんねぇ』
そういったのはヤン教授の弟子にあたるリー副教授だ。
『ジーザスッ!こんな稚拙なかんがえのもちぬしを指導していたとは教授もむねがいたかろうてねぇ』
『あん?いまなんつった?』
『ガッデーム!なんてこったいです!わたしにたてつこうというのですかねぇ?』
『拳でわからせてやるよ』
『シィッーーーット!おはなしになりませんねぇ』
場のくうきが一変した。
『お二人ともやめなさい。ぐぬぬぅわかりませんくぁ、いまゴブリンの子供が主に召されたのですよ!場をわきまえなさい』
血の涙をながしながらヤン教授は拳からも握りしめて血がにじんでいた。
『どういうことだ?』
『わたしもかなしんでいるのですよ!世にも無惨なこの世界のルールを!』
悪意によって人ですら魔物に変わってしまう。
それを殺さなければならないというジレンマがヤン教授をおかしくさせていた。
歯車はこのとき、静かにだがしかし確かに狂い始めていた。




