修練の塔
『講義はここまでにして』
ヤン教授は講義をおえると実地訓練にいこうすることにした。
犯罪者を利用して獄囚の悪意によって魔物を生成して運用するダンジョン、人工的につくられたそれはコキュートスとよばれる塔だった。
魔物があふれだしてくるのを倒して訓練するのだ。
階層ごとにつよい魔物をうみだすよう悪意に満ちた囚人を管理しているのがダンジョンマスターとよばれる教授のチームである。
『よいですか、コキュートスはもはや修羅場の宝庫となっています。死ぬ可能性を考慮しておいてください』
ゆうきは冒険ににたなにかにわくわくしていたが反面アイリは恐怖といらだちをかんじていた。
ユキからの定時連絡でデビルオクトパスがほぼ壊滅状態になっていることがしらされた。
藤堂は悪がほろびることに安堵したがそれと同時にこのさきのダンジョンへの不安感をつのらせていた。
不死身ではあるが痛みはかんじるのだ、自我が崩壊しかねないダメージをおうとまずいとかんがえている。
ゆうきは高速自己治癒の能力をそなえているのでマゾ気質がたたってわくわくしているのがグループの難題とも言えた。
コキュートスへとむかうことになった一行は修練をおこなうため上階をめざすことになるが、現在最上階の死刑囚ゾーンでは魔物が氾濫してとうから溢れだしてしまっているので、それを制御しなければならない。
純然たる悪意にみちた巣窟はぎゃくにいえば科学と魔術の進化の糧となる宝庫と言えた。
たおした魔物からドロップする戦利品は未知のものがおおく固有の能力がそなわっていたりする。
たとえばコキュートスでしんだ人間の装備していた万年筆が魔物に食され魔力を帯びることで自動書記の能力や筆跡が燃え盛る炎の印字といった固有のスキルが付与されていることもあるのだ。
それぞれ装備をととのえ修練と科学と魔術の進歩のために勇往邁進することとなった。




