ブラックジャック命のチップ
場は混沌としていた。
オークションでのヘッジホッグボムによってしにかけたチャイニーズマフィア、ドラゴンシンのヤンはふところに忍ばせていた魔力で練ったパンをかじった。
体つきが獣のごとく筋骨隆々になって傷をいやしていく、魔力の作用がそうさせた。
『何を食べようか、何を飲もうかと、自分の命のことで思いわずらい、何を着ようかと自分のからだのことで思いわずらうな』
<マタイによる福音書 6章25節>
『私は聖書がすきだ。言葉が体内にはいるみずのようにしみわたっていくのをかんじるからだ』
ヤンは懐にしまっていた聖書にささった釘をひきぬきながら信徒に説法するかのように語った。
『主はのぞまぬだろう』
殺し屋をみなごろしにしようとしたデビルオクトパスは二つ目の足セカンドフットのディーラー神田を先鋒としてはなっていた。
信仰互助会のドラゴンシン、ヤンは独特の宗教理念で信徒をふやしていたが、半数をしめる信者を釘爆弾によって殺傷されてしまい辟易としている。
『あぁ神よ!どうしてこうも残酷なのか!狂気じみた演目の主役に抜擢されるとわ!』
『エゴイストどもが、しねっ!』
ディーラーの神田は舞台の床からぬらりとあらわれるとそういった。
『ようこそ、我が死のカジノホールへ!あそんで逝かれるがよい!』
『主よ、なおも試練をおあたえになされるか!』
『デッドリーブラックジャック!』
するとヤンの眼前にカードが二枚現れた。
ヤンのカードは9神田の親カードはAだ。
うらを向いているカードがひらくまえにインシュランスをとなえますか?とアナウンスがながれた。
ヤンはブラックジャックを理解していたのでのることにした。
『答えはNoです』
するとカードが煌めきだした。
親のブラックジャックです、とアナウンスが響きわたりチップが回収される。
血液によって支払われる命のチップ。
『悪手じゃろうてのう』
干からびていくと肉体が塵芥となった。
その戦いを藤堂とゆうきは見守っていた。