暴走と性欲がまじわるとき(以下省略
正確には暴走と言うよりは覚醒者とおなじ状態と言えた。
理性を失いよっきゅうのままに魔力を行使する人間に似たなにかになってしまっていたのだ。
『あるぇ?忍者と侍がなんだっけ?不思議な不思議な感覚感覚がすすす、するけどなんだっけ?まぁいーや、どうでもきもちよけりゃあー!』
ゆうきは角をはやして魔力が全身に行き渡り肉体が強化されていた。
『侍さ、さむらい、すきぃー!!!しんで!しんで切腹させてあげる!ひゃひゃひゎ!』
(コロセ・・・)
脳内にこだまする機械からうまれたような音声がゆうきの意識をにぶらせる。
『あーなんでもいいからころしてぇー・・・』
(カンジロ・・・)
『デッドマン!さむらいぃいぃぃとうどうさあああん』
音速を越える踏み込みが地面に傷跡としてきざまれると、マッハ1のはやさで藤堂にげきとつしたかとおもわれたが、寸前のところで粒状合金でできている鞭でアイリがゆうきを拘束した。
『うるざいな!うるざぃなぁ!やめろやめろやめろ』
ゆうきは合金の鞭をひきちぎると壁を高速でけり三段跳びの要領でアイリめがけてつっこんで激突した。
白目を向くアイリが記憶を一瞬失うほどの衝撃をうけ、反撃に転じたのは前田とのスパーリングで反復して鍛え込んだブローだった。
eスポーツのプロ選手をも圧倒する反射神経と動体視力で魔力によって活性化された人体の特質をいかしたアイリだからこそできた芸当と言えた。
つづいてアッパーがゆうきの顎へと炸裂し、鉄がへしゃげた音が反響する。
『ざっけんじゃないわよぉ!!へんたい!!』
アイリは涙を流しながら半分ふくらんででた角をあかくひからせ、ゆうきを鞭で緊縛して地面に叩きつけた。
『きんもぢぃいいいーーー!!!』
ゆうきは快楽の極みへと到達した。
角が青から赤へとかわりしぼみ、半分くらいの角になったと同時にゆうきは意識を完全に取り戻した。
魔力量は測定不能な領域に達し、汁がさきからほとばしっている。
高純度の魔力が停滞する空間に引き寄せられた人喰ワームが壁面から出現した。
爆発音とともに現れたワームはロマンチック忍者の刀と装束のきれはしを歯にはさませていた。
ゆうきはそれを一瞥するとさけんだ。
『ろまんちっくにんじゃああああああああ!!!』
悲しみにつつまれたゆうきをみて唖然とするアイリに手早く指示する藤堂。
ゆうきを拘束したままオークション会場に戻ると中央の壇上にマスクだけをしたほぼ全裸のロマンチック忍者がいた。
『生も死も表裏一体の事象にすぎぬ』
『かっこいいこといってるけど、下半身出てるしロマンチック忍者しっかくじゃねーか!』
『慕情にもにた感情がわたしをここによびよせたのだ!』
『じゃねーよ!へんたい!』
アイリが赤面しながらむちでロマンチック忍者をたたく。
藤堂は鳥肌を立てたが、つぎにくるワームの強襲に備えてふんどしをしめなおした。