侍たちと地下競売とデビルオクトパス
凍える寒さのそととはちがって室内は暖房であたたかった。
ところどころに石油ストーブがあり、ほんのりと石油のにおいがするので冬の厳しさをよりひきたてていた。
『レディースあんジェントルメン!ようこそおいでくださいました!ここ新潟特区地下競売所に遠路はるばるおこしいただきありがとうございます!それでは、さようなら!』
シルクハットをかぶった男が挨拶をすませると壇上にある箱から炸裂式手榴弾サイズの爆弾がちゅうにうかびあがり爆発した、すると表面に無数のあながあきそこから釘が射出された。
会場には何十にんものマフィアのVIPがきており、警備は厳重だったがデビルオクトパスが先手をうって会場を占拠していたのだ。
それぞれボディガードが盾をだしてガードしたり能力でうちおとしていくが、おおくのものが強烈な爆発の釘によって絶命した。
客のなかにはゆうきやアイリもいた。
そして、藤堂も。
『おれのはいごに!』
藤堂は新陰流抜刀術のつかいてであり、心眼をえとくした刀の達人であった。
飛来する釘をはしから切り落とすがすべてとはいかず、身を呈してアイリ達をまもったがいくつかは被弾してしまいゆうきにもひとつささった。
『かっこえぇ!!サムライがおる!ふたりも!ふおあおぉ』
同時に刀をぬいたのが百鬼夜行にきていた伊藤マイケルとなのるサムライの黒人ろうへいであった。
『ヒキョウナリデース』
火花を散らせながら釘をうちおとしていく伊藤マイケル。
壁はくぎまみれになり、そこらじゅうに死体が散見された。
『ちょっと!なによあいつらゆるせないわ!私がころす獲物達をなんてこと!』
『そこじゃねぇだろ!サムライだぞ!さむらい!』
『あんたにいわれたくないわ』
『エクスキューズミー?』
『なんでしょうか』
伊藤マイケルが藤堂にはなしかける。
『ショウセイワケアリノミ、ユエニカタナミガクデースアナタウテスバラシデースアイマミエン!』
マイケルが刀を抜くこうとした瞬間に藤堂は距離をいっきにつめ抦の底をおして抜刀をとめた。
『ワォウ・・・ワザアリデース』
『シツレイシマシタデースアナタノヨウナカタニイッテシナンイタダケタウレシデース』
マイケルはお辞儀して踵を返すと主のもとへとかえっていった。
『クールだよクール!サムライってかんじまだいたんだなぁ!』
藤堂の腕章がはずれておちた。
かたなをぬきはなつそぶりをみせて手を離したすきに藤堂の腕章をちぎりおとしていたのだ。
マイケルにも一本とられた気分の藤堂であった。
そして爆発をおこしたデビルオクトバスはきえさっていた。
ゆうきたちは落札者の情報をえられなかったが、世の中の闇のぶぶんがかたついて心がおちつくのをかんじていた。
ロマンチック忍者は壇上に薔薇のはなたばをおくと、死者への弔いとして魔法で薔薇の花火をうちあげた。
『コヨイ多くの魂がそらのかなたへとかえっていった。かなしいことだが死は平等におとずれる、はかない花火と一緒だ。よぞらへきえゆくな』
アコギ侍はしんでいた。かたなもぬけずに。アコギなしにかたである。