深井の葛藤 目の病 光視症とAYAKASHI 時空警察編
深井は葛藤していた。
戦でなをあげるにつれ信長がうたれるという未来への不信感。
曲げてはならないであろう歴史がそこにあった。
時空警察としての仕事を全うしようとしているウツロのおもわくをしらずに深井はひとりなやんでいた。
『ふかいさま!』
『だれぞ!』
『さきの凱旋でたすけていただいた春ともうします!』
『あぁ!あのときの!そうか、たくましくなったな!』
数年のときを経て青年となっていた春は武をきわめんと日々どりょくしていた。
精進した結果槍術の才能があるとわかり、僧兵のもとでにちや鍛練を積んでいたらしい。
『あなたに士官としてやとっていただきたいとおもいにちや鍛錬してきもうした!』
いかが!とみせる武芸は熟練した兵士の突きとなぎはらいであった。
『うむ!よきあしさばきに突きぞ!わしのもとで働くとよい!日銭はだすゆえ、身支度なされよ』
『はい!』
『黄衣衆としてはげむように!』
異例の抜擢であった。
それだけ筋がよかったのだ。
体躯もよく恰幅のよい春はきたえにきたえぬかれた肉体美がふさわしいと評価されたのだ。
『殿!これより名を頂きたく!』
吉川千熊丸(幼名)であった春は吉川経家と名を与えた。
『ありがたく!なをいただきもうした!』
そういうと相談があると言い出した。
『最近よくひかりのたまをみまする。ひかりのあやかしでしょうか?』
『ふむ、おそらくそれは光視症じゃな』
光視症とは網膜剥離のぜんちょうによくみられ、光がとんでみえるという。
『こ、こうししょうともうしますので?』
『あぁ、これをめにさすがよい』
ポーションのはいった瓶をわたすと、春はめに垂らした。
『ひかりがきえていきます!』
『それはよかった。もとの状態に戻ったということだ』
『博識でございますね!ふかいさま!』
『そうほめるな、なにもでんぞ』
『殿のほほえみが拙者のなによりのたからにございます!』
『よき家臣となれ』
そうあたまをなでると、青年はうつむきうれしそうにしていた。
これから極まる戦の世に春がおとずれそうだ。




