深井の過去2
経営コンサルタントとして業績をのばしつづけていた、彼も新業種のてこいれでてまどりスランプに陥っていた。
新システムの導入による弊害で致命的な不具合が発覚し人為的エラーではあるがその責任を深井がおうこととなったのだ。
『くそっ!だからあれほどコンプライアンスをまもれといったんだ。経営理念もなく方針も定まっていない企業にアドバイスしても頑固な個人事業主なら社長という見栄が邪魔して素直にきいてくれないんだ!仕事としてやってるのにメンタルすりへるぜまじで』
『深井くんおちこんでるみたいだね』
そっとコーヒーを差し出してくれたのはYouTuberで芸術家の高値無音さんだった。
勤めているのところは作業ブースにドリンクバーがあり自由にソファーやゲームができて快適に過ごせるGoogleのようなゆめのような革新的なリクリエーションのできる企業だった。
『えぇ、まぁこの案件の社長が頭が固くて。たのまれてるのに提案するとおこるんだ。どうすればなっとくいくかかんがえても、資金提供さきを斡旋しろという風にとおまわしにいってくるから始末に終えない』
『そりやぁたいへんだね。うちもネットではさんざんたたかれて炎上していろんなひとと関係もってるからわかるけどしんどいものはしんどいよね』
『ありがとうございます。無音さんみたいなクリエイティブで聡明なかたが上司でよかった』
深井はこころからそうおもっていた。
『ゆうきというおいがいるんですが、かれも配信をみてるらしくてでも、いわゆるアンチになってるらしく批判的なコメントしかしないようでもうしわけありません』
『いや、いいんだよ』
そう一拍おくと無音は恥ずかしそうにいった。
『そういうアンチから熱心にコメントされて改善したりもりあがってプラスのほうこうにアプローチできるからアンチもファンと変わらず大事なんだ。ぼくにとってはね』
『勉強になります』
ぱしっとてをあわせると、コーヒーのブラックをふたりでずずっとのんだ。
『やっぱりコーヒーはセブンとかコンビニのがうまいですねぇ』
『たしかにね、有名どころはてぬかりがないうえにパフォーマンスもいいよね』
『たばこはやらないのかい?』
『甥がいやがるのでやめました』
『そんなに大事かい?』
『ええ、もう自分の子供のようにね』
なら、といいかけていちどくちをつぐんだ。
『無音さんいいようにしてやってください』
『あぁきみのたのみならね!ゆうきくんをこっちに招待してみるよ』
『あざっす!』
コーヒーをくいっとのみきると、二人は自然とおたがいのパソコンにむかいしごとをはじめた。
ゆうきをライブに招待するきっかけのひとつであった。




