玉を蹴ることが大切だとおもうのだ
ドSはうたれよわい。
激痛がアイリの全身を襲った。
からだの細胞がすみからすみまで尖った神経のように感じた。凄く遅い速度で体を蝕んでいく痛みというなのスパイス。
アイリはぶちきれたが、感覚だけがよぎって、動作もすべてがにぶくなった。
脳ミソはかんじることをやめようとしたが、ツノバヤシがそれを抑制し、常にいたみをかんじつづけた。
数秒の出来事である。
ゆうきが割ってはいってファーストフットをけりとばすがけったことにより鈍化にかかってしまい、蹴りの反作用で筋繊維がはげしくいたむのにみもだえした。
ドMの境地にたっしているゆうきは感動した。
『これが世界かよ!』
ゆうきがうけた痛みで発生した雫だけが鈍化の作用を逃れて地面に落ちると、ゆっくりと痛みをかんじていたゆうきは衝撃波によって吹き飛び鈍化の範囲からのがれることができた。
『あぶねぇ。やつの能力にはちかよれねぇな』
特注のタングステンでつくられたダムダム弾をぶちこむときがきた。
ゆうきは腰のホルスターから銃をぬきだしうちこむ。
みけんめがけてだ。
射的で景品がおちたときのようにスイカが弾丸をうけとめるかのように破裂した。
その頭部をみてアイリは絶叫した。
『私がころすときめたのに、私がたべるときめたのに、私が私がぁぁあああ!!』
ふざけるんじゃないわといって、ゆうきを一瞥するともっと衝撃波をだして時の静止した世界を壊すため玉にけりをくらわした。
これがアイリのうけていたトップシークレットの任務だった。
『あっ・・・』
白濁した意識のなかゆうきはひたいから大量の汁を噴射したことに気付いた。
同時に爆発がおこり時のとまったすべてが動き出した。
コップからこぼれおちるコーヒーと一緒にアイリはゆうきの汁をよつんばいになってすすった。
『おいひぃぃぃいなんておいしいの!こんなにも美味しいものがあったなんて!しんじられないわ!』
頬を染め興奮する少女のそれは恋とはまた別の感情だったに違いなかった。