磯ノ一家 時空警察編
ウツロはマセキを大信にわたしてから、魔道具の整理をしていた。
親から受け継いでいる収納ボックスだけが時限を超えてもち運べた唯一のものだ。
中身が無事か確認すると夕方の街道をあるいていく。
『信長の懐刀、ウツロだな』
三度笠をかぶった5人の集団が刀をぬいてまちかまえていた。
『浪人か、そんなことをしていないで、おれらの軍にはいらんか?人手不足でね』
夕やけが森をてらすなか、ひぐらしの鳴き声だけが響き渡る。じめじめとした雨の降ったあとのあつさをかんじながら陰鬱な気分でそういうと、ウツロは魔道具をとりだして鑑定のルーペをみせた。
『なんだそいつぁ、まあいいワシらはなんのうらみもないが、とらせてもらうで、タマ』
そういって中肉中背の男は名乗らずきりかかった。
足払いでウツロが牽制するとすぐさま飛び退ききょりをとる。
『まずは、なを名乗れよな』
『死人に語る舌をもたん、が、すこしはやるようだ。冥土の手向けに教えてやろう』
磯ノ一家という暗殺集団だとわかった。
『名は奈魅兵じゃ』
『魔巣男です、えぇ~!』
『咜羅ちゃんですぅ』
『叉痤獲でございます』
『和華女よ』
それぞれなのるとウツロはしったようなくちでいった。
『カツオはどうしたカツオわ!!』
ぶちぎれながら言うと、嘲笑を込めてうつむきながらナミヘイがいった。
『しんだよ・・・・・・ユルセカツオ』
『フネはどうした』
『よくしっているな、流石は織田の百人切り武者じゃのぅ!』
『わしらのこころのなかでいきておる』
頭をかきながらそらをみつめ、ウツロはいった。
『逝ったか・・・・・・』
その姿はどこか哀愁に満ちていた。
目頭が熱くなるナミヘイたちは刀をぎゅっとにぎりしめて、斬り捨て御免!とさけんだ。
ひぐらしたちがなきやむ夜を迎える時間帯の街道での出来事だった。




