親愛と憎悪 七つの罪源編
『マダムのことをおれがわるくいうのはい、いけど、お、おまえはゆるざん!!』
百本の妖刀と名刀をあやつり召喚するマコトは妖刀、五月雨を異空間から取り出した。
五月雨は周囲の水分を外気にさらされてる部分だけ操れる能力を持っていて、デビルズネストのサファリパークにいる蛙の魔物デビルトードから産出された逸品でオークションに出品されたとたんどこかで闇に消えていったとされている。
『お、おれのコレクションの一振でさんまいにおろしてやるッ!!』
『てやぁっ!』
水分がウォーターカッターとなって飛来する。
距離は10mといったところだ。
魔力で強化され射出した水の刃は切れ味をたもったまま、ゆうきのもとへと到達した。
『焔切!!』
業火をまとった刀が妖刀五月雨の飛ぶ斬撃を切断し蒸発させた。
『水は相性がよくないと思ったが高火力でおしきればなんとかなったな』
ゆうきはそういうと刀をしまった。
『殺しはしないことにしてるんだ!』
『俊足のはやさで走るから俊走。これでじゅうぶんだ!』
ふみこみ一瞬で10mを移動するとマコトの腹部を殴打した。
『かはぁっ!!』
ゆうきはマイケル師匠との特訓でふみこみの動作を幾万回繰り返したことで会得したことを思い出していた。
過去の記憶がよみがえる。
『ゆうき、イイデスカ?魔力をかかとに集中させ足裏で爆発させるイメージで~す』
マイケル師匠の日本語がうまくなったのはおじいちゃん、おばぁちゃんこのゆうきが慕ってよく交流していたからだ。
気絶するマコトを尻目にゆうきはアイリへと連絡した。
『ア、アイリ!大丈夫かな?』
『それがね、ちょっと言いづらいんだけれどマイケル師匠の首が地面に晒されてたらしいの』
『よく、わかんないんだけど』
あのね、と一拍おいてアイリは唾をのみ込みいった。
『マイケル師匠がころされたの、ごめんね』
アイリの泣きたい気持ちを押さえている軽い嗚咽が電話越しに聞こえてくる。
『ど、どぅじでぇ……!』
『防犯カメラには二人の男がうつってたそう。刀をつかうやつと雨が地面にささるやつ』
『わがっだ。あどでれんらぐずるぅ!』
『マコト、おまえなのかッ・・・!』
『・・・・・・』
気絶したふりをしているマコトが刀を召喚しゆうきをきろうとした。
ゆうきの背後から召喚された刀が振り下ろされる。
ぎりぎりかすめる程度ですんだが上着が切れた。
『ぉま"え"な"ぁ"あ"!!!』
『しねしねしねしねしねしね、ゆうきしねしねしねしね』
『ゆるざんッ!!』
くるりとかわすと不殺の誓いをたてたはずなのにそれを破ってしまう葛藤に苛まれた。
ゆうきは刹那にしか考える時間がなかったがマイケル師匠に誓った不殺の誓いは心からまもらねばならぬとおもったが、さらなる憎悪が彼をダークサイドにひきこもうとしていた。




