三流というなの三下 七つの罪源編
大黒頭巾をかぶり、大袋をせおい、打ち出の小槌と大袋をもち、米俵の上にすわった大黒天とよばれる七福神が弁財天の横に一瞬であらわれた。
『三下が弁財天を煙に巻いてええきになるなよっ!』
『なんじゃ、嫉妬かのぅ!ほっほ』
弁財天は扇で顔を隠しつつ照れてみせた。
『ほんまめでたいやっちゃなぁ!いろんな意味でキサンはめでたいわ!』
『ほめるでなぃ!照れるわ!』
大黒天はうんざりした様子でアホにつけるくすりはないといってロマンチック忍者に打出の小槌を突きつけた。
『三下ではあるが某、三流を極めた忍者で候』
『さようか!滑稽やのぅ!小槌よ小槌!うちでたるわなんぞ!なんぞ!幸か不幸か!僥倖か絶望か!なんぞなんぞのなんぼのもん!』
そういいながら小槌をふる動作をくりかえすと、地震が起きた。
大地が揺れ全員がくらくらと視界をゆるがすと米が津波となっておしよせてきた。
ビルのすきまをわって流れ出してくる米は水の津波とにたような軌跡をたどってゆうきたちを飲み込んだかと思うと、農民たちの笑い声が米を幻影のようにかき消してまわりを笑い声でうめつくした。
『怪しの類いか!伝来する説にきいたことがあるで候』
『しょうきじゃねぇ!なんだよこりゃあ』
ゆうきはあわてる。
『語る舌を持たん!言葉は不要!キサンはわいを怒らせた!神の力を体であじわうがよい!』
大黒天が怒髪天になり、怒りが有頂天に達すると大袋をロマンチック忍者に被せてさらおうとした。
『無駄に候』
分身を消滅させると本体を袋のそとに発現させた。
『某は虚にして、実。実にして虚。そこにあってそこにない』
『たわけが!忍術とよばれる類いのものだろうが!たばかるな!三下』
『くくく、失敬。神と申すからにはいかほどのものかとおもいきや、器が知れておるで候』
もう一度食らいたいか?とロマンチック忍者にとうと打出の小槌を空振りさせてみせた大黒天。
『威嚇とは!くくく。現代風にいうとうけるで候』
『キサンは許さん、さっきいうたよな!言葉は不要と』
『これこれ二匹ともさわぐでなぃ!わらわのためにあらそぅな!』
『はぁ?』
一人と一柱は顔を見合わせて大笑いした。




