めざめたら
その生命体は宇宙からひらいした流星群のなかの隕石のひとつに存在していた。
地球外生命体つのばやしだ。
読んでも字のとおり寄生に成功するとつのが額からはえるのだ、そして自我を失いゾンビのように感染源となり種をふやしていくのだ。
東京都千代田区に落下した隕石に付着していた生命体が活動を開始した。
無数のそれらは下水道などのすきまにはいりこみ数センチしかないその体を人類からかくすように養分を吸収し、適正のある生物をみつけるために影から影へと隅々で躍動していく。
ニュースでは隕石落下による被害の速報がとびかい、オカルトではあるとされているが生命体がいたと噂になっている。ネットのsnsでは特殊メイクで宇宙人を模倣したギャグ動画などが人気となっていた。
ここに角を生やした中学生の男子がいた。
『あるぇ、昨日まではこんなコブなかったのになぁ』
つのともよべない奇妙な石ころサイズのコブができており、さするとうねうねとうごいた。
『きもちわりぃ』
気分は最悪だったが、深夜内職をおえたあとのような達成感と充実感が脳を複雑な気分へとおいこんでいた。
家は貧乏でお菓子といえば10円のうまか棒かわさびさん太郎だった。この男子中学生の名前は勇気といい、元気よく勇気をもった少年にそだってほしいとかんがえなづけられた。
おやのえみこは片親ではやくに夫をなくし母のてひとつで育て上げた自慢のむすこだった。
『かあさんいってくるね!』
ふかめにぼうしをかぶりコブをかくしながら学校へとむかう勇気をえみこは見送った。
中学生にできるバイトといえばぎゅうにゅうか新聞のはいたつくらいのもので、できることは母のために勇気は自分からすすんで勤しんだ。
(うごかない)
脳内でぎこちないこえがきこえた。
(からだのじゆうがきかない)
また耳元てささやかれたような声がきこえた。
『頭がいたいわれそうだ』
不快ではない痛みがズキズキとする勇気をおそう。
『よっ勇気!なにやってんだあー?』
そう話しかけてきたのはクラスメイトの田中だった。
『あたまがいたくてね』
『そうか大丈夫かぁ?』
『あぁ平気だよ』
強がって見せたが学校にたどりつけるきかしなかった。
あしを踏ん張るといつもよりステップがかるく飛んでいるようだったが、なにせ頭がいたいのだ。
田中の顔を見ていると視界が歪みたおれこんで意識を失った。
隕石落下の翌日の話だ。