きつねあやはの感想分 『サエズリ図書館のワルツさん』 紅玉いづき著
〈サエズリ図書館のワルツさんの感想分〉
『サエズリ図書館のワルツさん』 著者:紅玉いづき
わたしはページをめくる
この作品を読みながら
紙の感触とページを捲る音と
物語へと込められた想いを感じとる
この本を好きな気持ちと
この物語を好きな気持ち
それぞれが重なり
ひとつに融け合っている
そんな気持ちでこの物語を読み進めてゆく
文章を読むことと本に触れること
それは等しくこの本を読んで
物語へと触れることを示すように思える
紙の本を読むということ
その特別な空気を味わう
その読むという雰囲気に酔う
そんな贅沢な気持ちになる
わたしわ本が好き
特に紙でできている書物が
ページに触れ
指でめくりつつ物語を味わい
紙面に触れて文章を目で追いながら
込められた物語の世界を共に歩く
そして物語を読み終えたあと
本を閉じて余韻を楽しみながら
その世界にあった出来事を思い返す
目を閉じ
本に手を置いて
世界のこと物語のことの思い出に耽る
意識せずに
その表紙を撫でながら
物語の人たちと一緒に歩いた世界のことを想う
物語の皆が暮らす世界を愛しく想いながら
わたしもあの世界へと居たのだと感じる
わたしわ本が好きなの
本があることが嬉しくてたまらない
かたわらに居る人たちのことが
とても好きなように……
ふと思う
人も本も本質は変わらないのかもしれないと
その想いを内に秘めていて
関わることのできた人たちに
いくばくかの影響を与えて
その人とともに歩き始める想いを持つことが
本とそれを創る人たちのこと
世界を創造するもの
自身の世界の外へと響きをもたらすものたち
とても愛おしいものたちのことを想う
わたしわ今日という素敵な時間を
そうした人たちと共にゆるやかにすごしてゆく
ありがとう
わたしの好きな世界を生んでくれて
わたしもその世界と一緒に歩いてゆけるの
これからもずっと
-つぶやき-
これは自分が書きたかった物語のひとつ、
本というものへと書きたかったこと、その気持ちを含んでいる物語です(*^^*)
本が無くなってゆく世界に、自分が遭ってしまったならどうするか?
今、緩やかにそうなりつつある、この世界に住みながら、
無意識に感じていることを形にしていただけた物語でした。
あなたは本が好きですか?
物語が好きですか?
自分は本も物語もどちらも好きです。
でも、本として書かれている物語と、
本ではない、あるいは本ではなくなった物語、
どちらかしか選べないとしたら……。
自分は触ることのできる、
本の物語であるものを選ぶでしょうね。
そして探すでしょう……。
たぶんきっと(*^^*)
右の本が、『サエズリ図書館のワルツさん』、
左は同じ作者、紅玉いづきさんの別作品です。←まだ未読です(*^^*)
-◇-
-おまけ-
「あたしは電子化された物の方が良いね。
場所を取らないし、捨てたい時に手軽に消せるからさ♪」
「わたしわ紙が好いの♪」
「うんうん、稲荷ちゃんは紙の本が好きだよね♪
手元にずっと置きたい。一緒に居たい方だから(笑)」
「もうっ!」
「文章は作者の心を記した記録物。
あたしにとってはね(笑)」
「文章に書かれたこと、書かれなかったこと。
それを文章から読み解いてゆく。
書いた作者の心を理解して、心に触れて、
作者の気持ちに、あたしの気持ちを寄り添わせるんだ♪」
「わたしにとってわ、
本を読むことって、本の心を知ること、かな?」
「本にわ、書いた人の想いが隠っているから」
「印刷されたものに宿る想いは淡くなってしまっているけれど、
それでも感じられる人には、はっきりとした想いとして、本の感じていること言っていることが判るのだと思うの」
「書かれた文章に触れながら、本の想い、書いた人の想いを合わせて感じてゆく。
本は覚えていると思うの。
書かれた物語がなぜ書かれたか、読む人に何を伝えたいと考えていたか……」
「たとえ本が覚えていなくても、
人が読み、本に想いを込めることで、本は気づくのよ、きっと……。
書いた人の、文章を通じて本自身に込められていたはずの想いに」
「それ、あたしが言ってることと同じだよ(笑)
違うのは稲荷ちゃんの言う、本自身の持つ心のことかな♪」
「多分ね、
あたしたちが、あたしたち自身の心と人の心とで、今のあたしたちに生ったように、
本も、書く人の想いと、読んだ人の想いとが重なりあうようにして想いを込めながら、やがて本自身の想いもそこに込められてゆくんだよ」
「人は、つくも神なんて呼ぶけど、本にも人の想いが籠りやすいものだから。
特に、人に使われ愛される物にはね(微笑)」
「あたしたちも本もたぶん同じ。
人の想いから生まれ、目覚めて、人のかたわらを歩むものだからね。
人の想いがあるなら、電子のデータからでも生まれる。
生まれ目覚めて、人に寄り添い続けるんだ♪」
「でもね、なんだろう?
形が無いものはやっぱり生まれづらいんだよね(苦笑)
命が宿るには器があるほうが適しているってことかな?(笑)」
「だからたぶん、電子書籍の精霊よりも、物語の中のキャラの電子生命の方が生まれやすいし、
電子データとしての本単体よりも、電子書籍の読書端末のつくも神のほうが生まれやすいんだと思うよ(笑)
あたしはパソコンの精、つくも神とかには会ったことあるしね♪」
「そういえば、スマホやタブレットの精ってあんまり会わないね。長年使われ続けたものが少ないからかな?
それとも、使う人の一部として認識されてるからかな?(苦笑)」
「情報機器は、短小軽薄になりつつある。
人の身体の外にある、もうひとつの頭脳。
現在はそうだけど、やがて人の身体に取り込まれて、電子も含めた新たな人になるのかもしれないね(苦笑)
「それが近い将来か、遠い未来か知らないけど♪」
「なんてね♪(笑)」
「まあ、ともかく、
あたしは、本というものは特別な物なのだと、そう感じるよ♪」
「わたしもそう思うわ」
「たぶん、あたしたちと同じで、永く語り継がれたり、長く読み継がれたりしながら、
人のかたわらで、目覚めるまで共に人と歩いて行きながら、そしてそれからもずっと、人と共に歩いてゆくからだろうね♪」
「みなさん、これからも物語や本のことを愛してあげてね♪
そうすることで、あたしたちには命が吹き込まれるんだから♪」
「猫又ちゃん、誰と話してるの?」
「何でもないよ(笑)」
〈おわじ〉