1.9 プロローグ アルスの場合
兄貴の部屋から自分の部屋に戻った俺は、椅子に座りさっそく本を見ようとした。
本の表紙を眺める。
『魔法の原理』
どうやら兄貴が父さんから貰った本は、魔法の原理について書いてあるようだった。
それに本は薄く、兄貴の言う通り初心者向けの本であるように思える。
本を開き数ページめくると、そもそもの魔法についての軽く説明が載っていた。
『魔法とはこの世界に現存する魔力を利用し、外部に何らかの作用を及ぼす術の事を指す。』
『魔法は現在から約300年前に発見された。魔力と呼ばれる存在はそれ以前からあると考えられてきたが、魔法の発見により初めて存在が確立された』
『魔法は産業、医療、及び対魔物との戦闘に対しても多大な影響を与えた。魔法の発展、究明は我々人間社会の発展に繋がると言える』
『魔法を初めて使用したと言われる魔法使いは......』
ここら辺については、あまり召喚とは関係無さそうだな。
興味のある事が書いてあるページまでどんどん飛ばしていく。
ページを飛ばしていくとそれは見つかった。
『ーー魔法はその性質及び作用により、地、水、風、火の4つの属性に大別する事ができる』
『それぞれの属性の性質については次章で軽く説明する』
おお!これは何か役立ちそうな気がする。
俺は次の章までページをめくった。
『魔法と属性』
『前章で魔法の属性について軽く触れたが、魔法には大きく分けて、地、水、風、火の4つの属性が存在する』
『この4つ属性は、それぞれ我々の住むこの世界を形作るものを司るとされており、その性質もそれらと似通っている面が多い』
『地属性』
『全ての生命の源であり、我々の住むこの世界を構築する大地を司る属性』
『属性の中で1番始めに発見された属性であり、初めて使用された魔法も地属性であると言われている』
『その性質により基本的な魔法、及び様々な高度な魔法の土台の役割を持つ事が多い』
『水属性』
『雨や雪に形を変えながらも世界を回り続け、大地に影響を与える海を司る属性』
『物質に対して作用し、様々な変化を及ぼす性質を持つ』
『その性質により錬金術や聖職者等に利用される事が多い』
『また負傷した身体を修復する回復魔法も水属性に分類されるが、高度な魔法の技術が要求される他、特別な波長を持った人間にしか扱えないとされている』
波長......?
初めて聞く単語だぞ。
1度、属性の章からページをめくり、波長について書いてある場所を探す。
......ここか?
『魔法使いが魔力を使用して魔法を行う時、波動が生じる』
『波動は波長によって異なり、その人の波動によって効果を及ぼしやすい属性、及ぼし辛い属性が変わる』
『波長とは、波動が空間を伝わる際に起こる際の、周期的な魔力の波の長さの事を指す。波長は人により特有であり、その色によってその人の得意とする属性を判別する事が可能である』
『得意とする属性と波長の色についての関係を下に記す』
地属性-黄色系
水属性-青色系
風属性-緑色系
火属性-赤色系
『得意とする属性が同じであっても同じ波長というものは存在せず、色は多少異なる』
『また波長は生まれ持ったものであり、練習等により変化させる事はできない』
波動......。
今まで意識した事なんて1度もなかった。
俺の波動は一体何色なんだろう。