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魔法訓練校の日記  作者: アトリ
4/10

1.4 プロローグ アルスの場合


......zzz



「ーーアルスー!もう昼近くよ!!そんなに寝てるとご飯にありつけないわよー!」



 ふいに自分の階段の下から怒鳴り声が聞こえ、目が覚めた。


 ......。


 ......なんだ......もうそんな時間なのか...。




 俺は伸びをして、涙が出たまぶたを指で擦った。




 ......おー!!!......すげぇ!!


 窓の外から何やら歓声が聞こえた。


 

 海を見ることができる窓へ目を移すと、遠くに大勢の人がいるのが見える。



 なんだ......あれ......。



 何が起こっているのかよく分からないまま、ボーッとしていると下からまた母さんの声が聞こえた。



「......アルスー!だから早く起きなさい!!」



「分かったって!今起きるよー!」



 ......まあいいか。



 俺は遅めの朝ごはんを食べに、階段を下りた。




「いやーそれでさー.....」



 リビングに着くと、兄貴が母さんに事情を話してるようだった。



 兄貴は1日中寝ていたからか、それとも元々の回復力の高さのせいなのか、いつも通りの元気さに戻っていた。



「......周りのみんながビクビクしてるしさー、やっぱり俺が行かなくちゃなって」


「それもあるけどやっぱり楽しみだったんだよなぁ、俺......召喚やるの」



 続けて兄貴が話す。


「それで先人を切ってやらせてもらったのよ。したらさ、なんかもうやばいのよ。体から魔力がどんどん出ていって!」


「やばいー!死ぬー!!って思っちゃって。その後先生が助けてくれて、1回は持ち堪えられたんだけど、結局後で気を失っちゃってさ」



 母さんが心配した顔で言う。


「あんた本当に気をつけなさいよ...。」


「私は訓練校に行ってないから召喚について口出しできないけど、先生方から何かアドバイスは無かったの?」


「先生は、1番大切なのはイメージだって。今回の俺はあまり考えずに唱えちゃったから、イメージが漠然とした、大きなものになっちゃってたんだって」


 兄貴が言う。



「あらそうなの。」


「......いつもあなたに言ってるけど、勇気と蛮勇は違うのよ。後先をしっかりと考えた上で行動しないと。今回も先生方に迷惑かけて」


「あとでしっかり謝りに行きなさいよ」



「分かってるよ母さん。学校に戻ったら先生に謝りに行くって」


 兄貴が少し恥ずかしくなったのか、食べる速度を上げた。



「うぅっ......水......」


 

 ほら、言わんこっちゃない。


 俺は喉を鳴らしながら水を豪快に飲む兄貴を横目で見ながら、遅めの朝ごはんを終わらせた。



 部屋に戻り服を着替え、出発の準備をする。



 ......よし。今日も行くか。



「それじゃ、行ってきます。」



 俺は家のドアを開けて、イストのいる鍛冶屋に向かった。



 

 イストとは、今日も入学試験のための練習を一緒にする予定だった。


 それに今日こそ、イストが鍛冶屋と魔法訓練校のどちらを選ぶのか聞かないと。



 俺が鍛冶屋の入り口までたどり着くと、すぐさまドアが開いた。


「アルス!遅いよ!!」


 イストがドアを開けたようだった。


 

 続けてイストが喋る。


「ねぇねぇ!アルスも見た!?今日の海辺での出来事!?」


 

 海辺のでの出来事......?


「いや、知らない」


「えええぇ!!あれを見逃すってアルスは残念だったね!!僕なんて見た時思わず声をあげちゃったもの!」



 海辺......大声......?


 あぁ!もしかして......。




「俺遅くまで寝ててさ。何かあったの?」


 

 イストがさらに興奮した目つきで言った。



「あのね!今日僕初めて見れたんだ!召喚!!」


「今日海で魔物が現れたんだけど、その時バレットさんが皆を守ってくれたんだよ!」



 体に電流が走ったように感じた。



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