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第二話 姫様の願い、事件の予感


国王に連れられて部屋に行き姫の準備ができるまでソファーに座って待っていた。ほどなくしてメイドから準備が終わったという知らせがきた。


「……国王様…………姫様の準備が整いました……」


なぜかメイドの口調が途切れ途切れで段々と小さくなっていたが。いや、理由は簡単だろう。


「うむ……入りなさい……」

「はい……お父様………」


部屋に入ってきた姫(?)の頭には角が生えていたのだから。つまり、そう言うことだ。この時、国王は現実から逃げ出した。


「魔王よ、すまんな。どうやら調子が悪いようだ。首もとに刃物を向けられたせいだろう。幻覚が見えるのだ。娘の頭に角が生えているという幻覚が」

「現実です、娘さんは……その………感染したと言うか……えっと………」

「観戦したのか?何をだ?」

「観戦ではなく感染です」

「………嘘だ」

「残念ながら本当です」

「よし、魔王よ。表に出ろ!」

「お父様!何をされるつもりですか!?」

「なに、ちょっとした挨拶だよ。王様どうしの少し変わった荒野でのね」

「ちょっと待ってくださいお父様!」

「止めてくれるな!時には拳で語らねばならんことだってあるんだ!」


(この国王拳でって言いやがったよ、てか扉の前にいる執事とメイドはなぜ何もしないんだ!)

結局、執事と姫が国王をなだめて話し合いをすることになった。もちろん王室で椅子に座って。今は国王と姫と俺の3人だけである


「それで、魔王よ。どうしてくれる?」

「それは治療をしろ、ということですか?」

「…できるのか?」

「おそらく、いえほぼ確実に無理です」

「ふむ、なぁ魔王。やはり話さないか?外で」

「いえ、遠慮させていただきます」

「遠慮なんてしなくていいんだ。ほら魔王行くぞ、来い」

「お父様、話が逸れています」

「だが!」

「お父様?」

「…なんでもない。だが、分かっているな?魔王」

「はい。このお詫びは何らかの形で必ず」

「それなんだがな、被害者はルーン……うちの娘だ。そう言えば挨拶がまだだったな。儂はジーク・ヘイリトム、この国の国王だ」

「あ、申し遅れました。ルーン・ヘイリトムと申します。先程は助けていただきありがとうございました」

「私はトイフェル・ムーワング、魔王の一人だ。助けたと言っても感染してしまっている。気づくのが遅くなって申し訳ない」

「いえ、あのままでは殺されていたのです。生きているだけで十分です」


姫は随分と落ち着いた様子で座っている。自らが魔人化してしまっているのに普段通り、いや、寧ろ急なことで逆に冷静になっているのだろう。


「それでだな詫びは被害者であるルーンが決めれば良いと思うのだが、どうだ?」

「私は姫様が良ければ、こちらは迷惑をかけた側ですので」

「だそうだ、ルーン。何かあるか?今ならなんでもしてくれるそうだぞ」

「なんでも、ですか?」

「え、あ、はい。物理的に無理なことでなければですが」

「それなら私をケット族にしていただけませんか?」

「「………?」」


急な姫様のお願いに国王も俺も意味がわからないと言った様子で黙りこくってしまう。


「あれ?お父様?魔王様?」

「あ、あぁ。すまんなルーン、もう一度言ってくれないか?」

「?私をケット族にしてください?」

「魔王、本当に娘は大丈夫なのか?やはり何か後遺症が」

「い、いえ。後遺症はない…はず。いや、今まで無かっただけで脳に何か重大な」


ここではよく人種と魔種での戦争が起こるためこういう事故がよくあるのだが、今まで後遺症が出たという報告は1度も聞いたことがない。だが、今回初めて後遺症が出たという可能性もある。2人が深刻そうに考えていると


「2人してバカにしてるのですか!?」


と姫様がお怒りになった。バカにしているつもりは無いがそのようなことを言われれば普通は心配すると思う。事実、国王も悩んでいた。


「急にケット族にしてくれなんて言われたら疑うに決まっておろうが」

「そ、それで姫様。どういうことでしょうか?」

「勉強している時にケット族のことを知って、色々と調べているとなりたくなったんです」

「なりたくなったって、と言うかなんでケット族なんじゃ?」

「それは教授がケット族のことを凄くよく話していらっしゃったので」

「ふむ、それで魔王。どうなのだ、できるのか?」

「ほぼ不可能かと。と言うかですね、国王は知ってらっしゃいますよね?」

「どういうことですか、お父様」

「ケット族を知っているということは習ってるはずだが、種と族については習っているか?」

「それならそこし前に習いました」

「そうか、それならば話ても分かるだろう。基本的に種は変えることができぬのだ」

「はい、それも習いましたよ?」

「ならば分かるだろう?魔人族はケット族にはなれないと」

「え?ですが魔人族もケット族も同じ魔種ですよね?」

「いや、違うが?魔王」

「はい。種は人種、魔種、神種、亜種の4つで、我ら魔人族は魔種。ケット族等の亜人族は亜種です。そのため魔人族からケット族では族変換ではなく種変換となってしまうので不可能というわけです」


国王に促され姫に種と族について教える。一般的な知識で種族について勉強するならば最初に習うことだ。


「ですが私は人種、魔種、神種しかいないと教わりましたよ?ケット族は魔種だと」

「……ルーン、付けた教授はセイントだったな?」

「いえ、テイラー様です」

「む、そうだったか?」

「初めはセイント様と聞いていたのですがテイラー様がいらして急に変わったと」

「…誰かいるか!」

「はい、ここに」

「セイントとテイラーをここに連れて来い」

「かしこまりました」


国王は部屋の外に控えていた執事に2人を連れてくるように言う。おそらくその2人の教授が国王の知らぬところで何かあったのだろう。少しして、執事が戻ってきた。1人で


「セイントとテイラーはどうした?」

「それが……」

「なんだ、早く言え」

「セイント様とテイラー様が行方をくらませたとの事です!」

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