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しずかが居なくなってから2か月ほどたった会社からの帰り道。
俺は向こうから歩いてくるビジネススーツ姿の女性に目が留まった。
あわてて走り寄り、声をかける。
「ちょっと、あなた。俺を覚えていますか?」
突然声をかけられたその女性は、怯えたような表情だった。
しかし間違いない。彼女はあの『霊視占い師』だ。
「頼みます。俺を見てください・・俺のとなりにしずかは居ますか?」
女性はここでようやく気が付いたようだった。
「あなた、もしかして霊視占いのお客さん?」
「そうです。覚えていましたか?」
女性は申し訳なさそうに言った。
「うーん、ごめんなさい。たくさんのお客さんを見たから覚えていないわ」
「そうですか。でもいいです、もう一度見てください。俺のとなりに彼女は居ますか?」
女性は俺に深々と頭を下げて言った。
「ごめんなさい、いい加減なこと言って。あれは単なるバイトだったの。私はただの会社員で霊視なんかできないの」




