第28話
新王国歴7268年11月7日
「要塞制圧率、90%を突破」
「敵陸戦兵器の数密度は減少の一途を辿っています。揚陸部隊の損耗率も同様に減少」
「特戦型陸戦兵器は確認できず。殲滅した模様」
「海軍より報告。他の地上要塞11ヶ所全ての破壊に成功」
「要塞ジェネレーター制圧完了。独立区画を除き、エネルギー供給停止」
アルドバルン要塞の攻略は順調に進み、残り10%を切った。
敵の陸戦兵器は70%地点の決戦で完全に消耗し、揚陸部隊が次々と占領できるようになった。
まあ、いくつか罠の類いもあったが、物量で押し切れるレベルだ。というか、物量を発揮する前にエースの技量によって叩き伏せられた。
「独立区画は残り8。内3つは制圧中」
「敵格納庫の制圧は全て完了。敵残存陸戦兵器は推定10万機」
「揚陸部隊損耗率38.7%」
「独立区画、4つに突入成功。制圧開始」
「主要通路防衛線の突破に成功」
そして、ついに最終地点に到達する。
「要塞制圧率99.9%、最後の扉を発見。最終防衛線は1000機のみ」
「その奥に連中がいると見て間違いないか?」
「間違いありせん。他の区画は全て制圧し、残る独立区画はここだけです。中に生体反応があることも確認しました。地上と海中は精査済み、裏口は全て制圧済みです」
「分かった。メルナ、行くぞ」
「はい」
要塞を落として帝国政府首脳を捕らえ、その場で降伏勧告を行う。
政治的要請を元にした作戦だが、半分程度は俺の私情が込められている。反抗するなら殺せるからな。
とはいえ、生身で出るわけではない。軽装歩兵にホログラフを被せ、そこにいるかのように偽装する。ついでに、メインの意識もそちらへ動かしておく。
その隣にはメルナ、そして予定通りリーリアも来ていた。
「突入準備は?」
「出来ています。重装歩兵と多砲塔戦車は火力投射準備完了、機動歩兵を中心とした突入部隊も編成済みです」
「敵機の数は少なく、すぐにでも排除可能です」
「行けるわね」
「ああ。全隊、突撃せよ」
「了解!」
まあ、カッコつけてみたものの、勝敗の決まった戦いだ。
敵の最終防衛線は紙屑より脆く崩れ去り、部隊は扉の先へ突入した。
「何だと⁉︎」
「貴様ら!ここをどこだと思っている!」
「へっ、陛下……!」
「いやはや、お騒がせして申し訳ない。しかし、これくらいはしないと敗戦という事実を理解しては貰えないと考えたためです」
中にはシュベールが300人ほど、奥の部屋も含めると1000人に届きそうだ。もっとも、俺達が突入した意味を理解している奴は少なそうだが。
とはいえ、総帥府からの要望を無視するわけにはいかない。勧告のため、思考加速装置を停止する。
「敗戦、だと?」
「そうでしょう?各地の軍は壊滅し、本土まで攻め込まれ、こうして最後の要塞も落ちた。これが敗戦以外の何でしょうか?まあ、まだ抵抗するというのであれば、殲滅するのみですが」
「くっ、この……!」
「こいつ……!」
「受け入れた方が身の為よ。これからの身の振り方を考えるにしても」
「そんなことが受け入れられるか!この鳥風情が!」
「はぁ……そろそろ黙れ」
予想通り、騒ぐ連中はいた。だが2,3人を撃ち殺すと、途端に静かになる。
やっぱり、獣の躾は厳しくやらないと駄目だな。
「出来るなら最初からやれ」
「な、あ……き、きさ……」
「お前達シュベールは等しくゴミだ。廃棄物以外の何物でもない。お前達の生き死には全て俺達が握っていることを忘れるな」
「何を言うか!」
「陛下!こやつの戯言など、がっ⁉︎」
「反抗する奴は全員殺してやる。好きにしろ。ちなみに、俺はそっちを推奨するぞ?」
「私もその方が良いわ。自信があるなら、撃ってきても構わないわよ?」
「ガイルもリーリアも、程々にしてくださいね」
30人ほど殺せば現実を受け入れるだろう。何人かは血生臭くやってもいい。
だが、俺の予想は良いと悪いの両方の意味で裏切られた。
「降伏しよう。無意味なことをする主義ではない」
「陛下!」
「懸命だな、残念なことに」
「だがその代わりに、軍を退け。この銀河は余のものだ」
「交渉できるとでも思っているのか?」
「交渉では無い。命令だ。銀河の皇帝たる余の命令である」
「なるほど、そういう認識か……反抗したら殺すと言ったはずだ」
「陛下⁉︎」
「馬鹿ね、こいつ」
リーリアはこう言っているが、元から皇帝はここで殺すつもりだった。残しておいても不穏分子にしかならないから、政治的にな。自ら理由を作ってくれて何よりだ。
しかし、こいつのせいでこれ以上殺すことが難しくなった。皇帝が言った以上、死んだとしても有効だろう。抵抗する奴はいなくなる。
そう思っていたが……意外と多いな。皇太子を始めとして皇族もかなりの数が騒いでいる。これなら、半分くらいは処分できるか?
「もういないか?居るなら声を出せ。すぐに殺してやる」
「いないようですね」
「根性が無いわね」
「こいつが最後だったか……連行しろ」
そうして処分を続け、生き残ったのは怯えた連中のみ。不満は残るが、王国のために我慢する。
奥にいた高官達の家族も脅しでいくらか殺した後、連行していった。
だがその時……
「満足ですか?」
「何のことだ?」
声をかけてきたのはシュベールの女、というより少女だな。
シュベールの年齢は分かりにくいが……15歳くらいか?服を見る限り皇族のようだが……
「これで満足ですか?貴方は、この結果に満足していますか?」
「それに答える必要性はあるか?」
「ありません。ですが、わたしが知りたいのです」
「ただの自己満足か……答えるなら、不満しかない」
答える義務は無い。だが、不思議と答える気にさせる口調だった。
それに……俺の苦手な目だ。レイと同じ……
「政治的な要望には応えるが、本心は別だ。俺達が受けた苦しみはこんなものではない。俺達が耐えた時間はこんなものではない。死んだ者達の悲しみはこんなものではない」
「……可哀想な人」
「は?」
「可哀想な人です、貴方は。未来に目を向けることが出来ない。過去の妄執に囚われているのですか?」
「誰からどう言われようと、これが俺だ。今さら変わったりはしない。それと……あまり俺を怒らせるな」
軽装歩兵にレーザーソードを引き抜かせ、少女の喉元に当てる。あと少し動かすだけで、この少女の首は斥力場に巻き込まれて引きちぎれるだろう。
しかし、これでも少女の態度は変わらなかった。
「どうぞ。これで貴方の気が済むのでしたら、ご自由になさってください」
「こいつは……お前1人で終わらせられるわけがないだろう。俺の気が済むのは殲滅した時だけだ」
「しかし、溜飲は下がるのでしょう?であればどうぞ」
「ここでお前を殺したところで、王国が不利になるだけだ。殺しはしない。だが……不思議な奴だな、お前は」
「よく言われます。しかし、わたしも似たような境遇ではありますから」
「何だ?同情でも誘いたいのか?」
「いいえ、事実を述べただけです。他意はありません」
「そうか。それなら、さっさと行け。俺の手を煩わせるな」
それでようやく満足したのか、奴は他の連中と同じように連行されていった。
これで終わりだ。だが……俺の心には棘が残っている。
「可哀想、か……」
「貴方?」
「何でもない。それより、連邦軍はどうしている?」
「ここが落ちて、ようやく勝ち筋が見えたみたいね。2時間もすれば終わると思うわ」
「そうか。それなら、先にやることをやっておくぞ」
「ええ。でも貴方、本当に大丈夫?」
「問題無い」
「そう……必要なら相談しなさい。私やメルナなら答えられるわ」
「ああ」
この棘が何かは分からない。自分では結論を出せそうにない。
後で話してみるつもりだが……それだけで答えが出れば苦労はないな。その方が良いんだが……
「メルナ、戻るぞ」
「はい」
そして俺達は思考加速装置を再度起動させ、メインの意識を艦橋に戻す。
「予定通り、この星系を監視下に置く。潜宙艦隊は行動を開始しろ。ただし、連邦軍には悟られるな」
「了解。目標地点決定、潜宙艦隊行動開始」
「工作艦隊は護衛艦とともに隠密行動を開始」
「航空部隊、全機警戒態勢」
さて、俺達の役目はほぼ終わった。あとは政治家に任せるとしよう。
ようやく報告ができるな……母さん、レイ。
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新王国歴7269年5月7日
「集まるものだな」
「ここだけで10億人はいるそうよ。上の方はカメラを使ってるみたいだけど」
「少し恥ずかしいです……」
「それは慣れるしかないな。俺やリーリアはよく駆り出されていたから、もう慣れた」
「こういうの嫌いなの?」
「いや、悪くない。500年前にこんな余裕は無かったが」
「……仕方ない」
「あの時は他にも色々と忙しかったですからね」
戦後処理がひと段落した今日、戦勝記念式典が開かれた。
今もまだ派遣した戦略艦隊全て、および戦後処理に駆り出された陸海軍の多くが帝国銀河内にいるが、戦勝記念式典に参加するために一部の人だけ戻ってきている。
そして、屋根の無いオートビークルに乗ってパレードをしていた。
「本当に……雲泥の差だ、あの時とは」
「今までの苦難は報われたけど、新しい苦難か始まったもの……祝える状況じゃなかったわ」
帝国に対する戦後処置は多岐に渡る。
まず、皇族は全員バラバラに連邦へ軟禁されることになり、最終決戦の直後に移送が開始された。
惑星規模要塞にはアルドバルン要塞から自爆コードを送り、消し去った。再建すら出来ぬよう、粉々に、中の兵士もろとも。
そして、帝国にいるシュベール以外の種族は再び国を作り、王国か連邦がそれを支援することが決まった。親王国と親連邦を分けることで統一を防ぐためだそうだ。もっとも、親連邦側の国にも諜報部が入り込んでいるが。
「そんなに昔ばかり考えていては気が滅入りますよ。ガイルにとって、まだまだ残っているのでしょうけれど、未来も必要でしょう?」
「……わたし達、邪魔?」
「シェーン、その言い方はやめろ。事実無根だ」
「……じゃあ、構って?」
「はあ、分かった」
シュベールどもは氏族軍と皇族軍を基点に54の国に分かれ、銀河内にバラバラに散らばっていった。なお本星は連邦軍が確保しており、秘密裏に王国軍の監視下にもある。
最終決戦後に分かったことだが、大半の氏族軍は他と仲が悪いようだ。皇族軍も似たようなものだ。まあ、上層部が完全壊滅して他の軍に吸収された連中もいれば、内部対立で分裂した連中もいるが。
要の皇族を引き抜き、諜報部で撹乱し続ければ、纏まることは無いだろう。
「シェーン、そこまでにしましょう」
「……はい、姫様」
「まったく、みんな物好きね」
「その筆頭が言うことか」
「へえ、物の自覚はあったのね?」
「はぁ……まったく」
しかし、戦後処理はそれだけではない。帝国対策だけではなく、王国と連邦の間にも必要な処理がある。
1つ目は各種条約が締結され、互いの勢力圏が確定したことだ。その結果、バーディスランド王国はファルトス銀河における優先権を獲得することができた。
「そういえばお兄ちゃん、アレってどうなったっけ?」
「アレ……戦略艦隊の配備計画か?」
「うん。だって変わるんだもん」
「そうだな。まあ、俺達がやることは同じだ。全ては覚えていないが……ポーラ、出せるか?」
「はい、大丈夫です」
とはいえ、これは不可侵条約に近いものだ。交易は無し、交流もほぼ無し、外交交渉も実質無し。連邦は王国の許可無くファルトス銀河へ入ることはできず、許可が無い船は犯罪者扱いで沈めても構わない。
まあ王国側も同じだが、諜報部は既に連邦のかなり深い所まで入り込んでいる。それに、王国軍の方が隠密行動能力は上だ。
「王国内には第11戦略艦隊を除き、2個の戦略艦隊が配備されます。第1戦略艦隊の配置は同じですが、各超大型ワープゲートにも1個ずつ配備されるため、アルストバーン星系に駐留する戦略艦隊は2個に増えます。残りの4ヶ戦略艦隊の内、3個はファルトス銀河内の哨戒を、1個はミレニアス銀河の哨戒を行います。順番はまだ確定していませんが、暫定ではこれです」
「ありがと、ポーラお姉ちゃん」
「……これで全部?」
「いや、一部は別行動だ。第1戦略艦隊からは潜宙艦隊を例の星系に向かわせる」
「……そういうこと」
「でも、20年なんて長すぎるよ。1日で終わるじゃん」
「これも政治だ。連邦は100年近くかけるからな。いくらなんでも、1日で終わらせるのは外交的にもマズいらしい」
「そっか」
2つ目にアルストバーン星系から1600光年離れた星系を王国と連邦が共同で開拓することになった。居住用としては使えないが、天文学には使えるだろう。
まあ、連邦はこの星系を対王国の前線基地にするつもりなのかもしれないが……対処方法はいくらでもあり、罠の準備も着々と進んでいる。
今の予定では駐屯するのが陸軍4ヶ戦団と海軍10ヶ艦隊、潜伏するのが第1戦略艦隊潜宙艦隊の予定だ。増強する可能性も考え、計画は進んでいる。
「……超大型ワープゲート、は?」
「まだ調査段階のはずだ。俺達への報告に差は無いからな。設計自体は終わりかけのようだが」
「どれだっけ?」
「これですよ。全体直径2400km、ワープゲート直径1800km、全長1000km、ワープゲート以外の施設も多数搭載しているようですね。ジェネレーターとシールド発生基はかなり多いですよ」
「武装と駐留部隊も多いわ。余剰スペースが大きい設計らしいし、援軍も山ほど送れそうね」
「それとこれはラグニルから聞いたことだが、専用の無人機管制システムも開発されているらしい。物量に数をぶつけるだけならどうにかなる代物になるそうだ。陸海軍用の試験品とか言っていたな」
「……そう」
3つ目には帝国銀河と連邦銀河、そして王国を繋ぐ超大型ワープゲートが建造されることが入る。まだ半年ほどかかりそうだが、アスルトバーン星系などでは重力や空間状態の調査が始まっている。
恒久的なワープゲートとなると色々な制約があり、場所や軌道の選定が必要となるためだ。余程のことがなければ無理矢理作ることもできるが、時間とエネルギーの効率がかなり悪くなるらしい。それは数万光年、かつアーマーディレスト級が通れるほどのサイズとなると尚更だそうだ。
かかる労力は多いが、それだけの意味がある。意味の無い交易は行われないが、外交官のやり取りは何度もあるだろう。これを使えば連邦の船でも数時間で王国にたどり着ける。
しかし王国軍にとって、超大型ワープゲートは連邦・帝国残党に対する前線要塞だ。隠しているが非常に分厚い防衛機構を誇っており、1ヶ戦略艦隊だけでなく陸海軍の部隊も載せる。
そして管理は全て王国が行うため、知らないうちに悪用されていたということはない。
「さて、そろそろ終点か」
「そうですね。しっかりしましょう」
「おおむね予定通りのようです。スケジュールに変更はありません」
「でも、やることってあった?」
「……ガイル以外、無い」
「それでもよ。代表がちゃんとしてるのに私達が変なのは恥になるわ」
パレードの終点となる王城には特設ステージが設けられており、外からも見える形で論功行賞が行われる。
これにはパレードの続きという意味合いもあるが、天に見せつけるという意味の方が強い。
地に伏せ、天へ飛んだ、先祖達へと。
「皆の者、今日は集まってくれたことに感謝する。半年前、王国は宿敵たる帝国に打ち勝ち、迫っていた脅威を排除した。ここはその戦勝を記念する場である。しかしその前に、追悼を行いたい」
「王国は帝国に打ち勝つため、幾多の犠牲を生み出してきた歴史を持つ。此度の戦争でも数多くの死者が生まれた。しかし、それは恥ずべきことであろうか。余はそうは思わぬ」
「戦死者がいることを恥ずかしむ。それは戦死者への冒涜に他ならぬ。戦死者達は家族のため、友のために戦い、そして死んでいった。それを肯定せねば、家族であり友である資格を持つことはできぬ」
「だからこそ、汝らは死者を慈しみ、尊び、生を尽くさねばならん。余は国王として、王国の平和を望む。しかし、それは民の幸福の上に立つものであり、不幸を積み重ねるものではない。余は、全ての死者の安寧を願うものである。新王国歴7269年5月7日、バーディスランド王国国王、アストーグ24世」
この帝国との戦争における、王国軍の戦死者は約79億人。生体義鎧は296名、そのうち第1世代は3名だ。
失った者は多い。悲しむ者も多い。だがそれでも、俺達は前に進み続けなければならない。
それが、それこそが、死者へできる唯一の餞なのだから。
「ありがとうございました、陛下。続いて、新たな卿の叙爵に移ります。該当者は前へ」
そう総帥に呼ばれ、陛下の前に立ったのは陸軍総監のオルド-ヤヌアルメル上級元帥、第5統合艦隊のレックス元帥と第9統合艦隊のミーシャ元帥、諜報部を統括した近衛軍出身のシェリア-ファザード大将。
対象者は他にもいるが、功績からこの4人が選ばれた。昔のように言うと、授ける爵位が高い者となる。
「オルド-ヤヌアルメル上級元帥。汝は模範となる作戦案を多数作成し、さらにいくつもの戦場で的確な戦闘指揮を行い、勝利を収めた。この功を讃え、マンシュトリア卿の位を授ける」
「もったいなきお言葉です、陛下。これからも一層、職務に励んでまいります」
「レックス-アウシュトレイ元帥。汝は戦術戦略の両面で大きな戦功を立て、幾多の敵艦を沈め王国に勝利をもたらした。これにより、ジョセニアポール卿の位を授ける」
「ありがたきお言葉です、陛下。今後も国のため、民のため、懸命に努めてまいります」
「ミーシャ-アウシュトレイ元帥。汝は重要な戦場でレックス-アウシュトレイ元帥を助け、さらに幾多の戦場で勝利を収め、王国の勝利に多大なる貢献をした。これを評し、ネミリアルソン卿の位を授ける」
「ありがとうございます、陛下。これからも兄を助け、国に尽くしていく所存です」
「シェリア-ファザード大将。汝は多量の情報を収集した上で正確に解析し、我が軍の勝利に大きく貢献した。故に、ジェルフボルダー卿の位を授ける」
「もったいなきお言葉でございます、陛下。今後も陛下の信任に応えられるよう、努力してまいります」
その後も各種褒賞、叙勲、表彰、などが行われ、その度に歓声が響く。国民の関心度も高いのだろう、視聴率は常に60%を超えているようだ。
そして夕方まで続いた戦勝記念式典もまもなく終わる頃、ようやく出番が来た。
「最後にガイル-シュルトハイン元帥閣下、どうぞ前へ」
席を立ち、ザルツの前に最敬礼で跪く。いつも通りだがいつもと違う、そんな状況。
戦勝だから、なのかもしれない。
「ガイル-シュルトハイン元帥。汝が最大の功労者である。
望むものは全て与えよう。汝は何を望む?」
確かに、そうなのだろう。戦略艦隊は被害担当でもあったからこそ、立てた戦功は大きい。
だが、新しく頂くことなどない。
「国王陛下」
既に山ほど頂いているのだから。
「我ら生体義鎧は昔と変わらず、今も変わらず、そして未来においても、王国に忠義を尽くすために存在しております」
朽ちるはずの肉体が在り続ける。そんな空想が現実となり、未来へ続けることができる。
それは恩恵、御恩以外の何ものでもない。
「我々は何も望みません。我々の存在を許していただけることが最大の褒賞であり、我々が仕え続けることへの十分な理由です」
平和を取り戻したことが幸福となり、守り続けることが生き甲斐となった。
俺達の感性は生身の者とは大きく変わってしまっているのだろう。しかし、それだけは変わらない。
「全ては王国のために。未来永劫、守護者たることをお誓い申し上げます」
願わくは、この幸福な世界が未来永劫続くことを。
これでこの物語は終了です
ご愛読ありがとうございました




