矛盾は人であり、人が矛盾に作り出されている
乾いた大地を踏みしめる人とラクダがあれば、自然と大地は潤う。
足として使っていたラクダも、人間が限界を感じれば殺され、大地が潤う。
オアシスを求めて歩いた人間は、ラクダをなくしたことによってオアシスにたどり着くことが出来ずに息絶え、大地は潤う。
そうして数多の生命を啜った大地がオアシスとなり、生命を産み、生命を育てる。
それは人も同じ、それを成そうとした人を踏み台にしてそれを成すことしか出来ない。
人は常に犠牲を出さないための犠牲を払っている、矛盾だらけの生物だ。
パタリ、と本を閉じて空を仰ぐ。
それは間違っている。そう確信した僕の心もまた、矛盾だらけなのだ。