やせがまんは、愚か者のすること?
ひとりでいることに
慣れてしまって
誰にも「ひとりが寂しい」と
いえなくなってしまった。
ひとりでいることが、
楽でいいんだよ、
って、
ぼくは
何も求めないからね、
って、
いいきかせたのは
やせがまんだったかもしれない
ほんとうは
君に出会ったときから
こころは、もう、
君といっしょにいたいって、
わがままを言いつづけていたけれど
わがままを、いちどでもきくと、
あとあと、箍がはずれてしまうのが、
人の性だから
ぼくは、ぼくのわがままを、
完全に無視していた。
こころの中でじっと俯いて、
ひとりでも、いい
ひとりでも、いい
と、
呪文を唱えるように
呟き続けていた。
それは、ひとつの教訓だろう。
わがままを、
無視し、
ほんとうの気持ちを、
殺し続けていると、
いつか取り返しのつかない津波に
巻き込まれることになる。
波の名は、
後悔、
というかもしれない。
マジックミラーがあったらなぁ、
あの頃のぼくを見ることができ、
いまからでも声をかけられる
マジックミラーが。
ぼくは、
なんていってやれるだろうか?
あの頃の、人生のほんとうの後悔を
これっぽっちも知らなかった
強がりで、
柔らかい純情をひけらかしてた
救いがたく、愚かな、
鏡の中のじぶんに。