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流星群の下で  作者:
3/3

どうか願いを叶えて

私、君にお願いがあるの

私はそう切り出した。

おねがい?どんな?

君はきょとんとした顔で聞いた。

あのね、私の読んだことの無い本が欲しいの

君の読んだことの無い本?あるかな

君は少し笑って言った。

君は街に住んでいるんでしょう?何か無い?

うーんどうだろう、何か探してみるよ

ほんとう?ありがとう

私は嬉しくなって空を見上げた。


それから一週間くらいかな、

君はあの場所に姿を見せなかった。

もしかして、本を探してくれてるのかな、なんて考えた。

君はどんな本を持ってきてくれるのかな。

剣と魔法で勇者がお姫様を救うお話?

それとも男の子と女の子が恋に落ちるお話?

どんな本を持ってきてくれるのかな。

私はわくわくしながら、いつもの場所で空を見上げる。


それから十日くらいたったかな。

まだ君は本を探しているのかな。

私のために頑張ってくれているんだね。

私は君が一生懸命本を探してくれていると思うと、すごく嬉しくなったよ。

でも、どうしてだろう。

一人で見上げる空は、少しだけ冷たい色をしている気がするんだ。

見上げた空に、大きな鳥が飛んでいた。


一ヶ月。

君が私のために本を探しに行ってからもう一ヶ月が過ぎようとしていた。

確かに私はとてもたくさん本がある家に住んでいるけれど、

それでも読んだことの無い本くらいあるよ?

そこまで一生懸命に探さなくても、きっとすぐに見つかるよ?

私は本が好きだけれど、それ以上に君のお話が好きだったんだよ。

もう本は探さなくていいから、

もう私のお願いなんて聞かなくていいから、

またあの笑顔を見せてよ。

またいろんなお話聞かせてよ。

兄弟のこと、家族のこと、街のこと、好きな人のこと、

私の知らない世界のこと、もっと教えてよ。


三ヶ月。

私は怒っています。

君に対してです。

何故こんなに怒っているかわかりますか?

何も、本を持ってきてくれないからではありません。

見つからなかったら、いつもの調子で謝ってくれればいいのです。

私がそんなこと許さないとでも思っているのですか?

もちろん、私を怒らせた罰として、大好きな飴をたくさん貰いますけれど。

たったそれだけで許してあげるのですよ?

簡単じゃないですか。

だから、待ってます。

君が、本かいっぱいの飴を抱えてこの場所に来ることを。


お願い、戻ってきてください


一年。

とても長い月日が流れました。

とてもとても長い月日が流れました。

私は今も変わらずあなたがあの場所に来ることを信じて待っています。

今日は、あなたと初めて会った日のことを思い出していました。

たしか、あれは流星群の夜でしたね。

あれが何座の流星群だったかは、今でもわかりません。

私はあの時、初めて他の誰かと会話をしたんです。

すごく楽しかった。

何も話さなくても、隣に誰かがいるだけで幸せだった。

気持ちよさそうな寝顔に、私は心惹かれてしまった。

どうかこの時間が永遠に続きますように、なんて、

あれは、何という名前の本だったか、

そんなことが書かれているのを思い出しました。

そして、それを強く願っていたのです。


二年。

まだあなたは姿を見せません。


三年。

あなたは来ません。

私のことを嫌いになってしまったのですか?


五年。



七年。



十年。









私はなんとなく解っていました。

あなたが私のことを嫌いになったり、

ずっと本を探しているわけではないということ。


あなたがもう、どこにもいないこと。


いつも空を飛んでいるあの大きな鳥は、

街をきれいにして飛び去っていきます。

あなたも、あの鳥に連れて行かれてしまったのですね。

この十年の間に、街はすっかり平らになってしまいましたよ。

私は勇者ではないので、あなたを連れ戻しになんて行けないのです。

ごめんなさい。


ごめんなさい。







先客がいたのかぁ

いつもの調子で君がおどける。

まったく、いつまで待たせるんですか

ごめんごめん、本は見つからなかったよ

そんなこと、とっくに知ってますよーだ

あはは、ごめんってば、その代わりに

その代わりに?


僕のお話を聞いてくれないか?




あれはなんという名前の流星群だったか。

確か、星座の名前がついていたような気がする。

私の願い。

聞き届けてくれたのですね。



どうか、二人が


この時間が



永遠に続きますように。

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