Y-35 光立ち上る時
Y-35
敵本拠地「ゼラ・ギルド」前
7:32
その日
空は澄んだ青色に染まっていた
見事なまでの快晴である
廃墟を太陽が
眩しく照らしていた
朝食を終え
16人がそれぞれ準備に入る
索敵班は索敵装置の最終点検
グループBは各武装の点検
グループAと俺、姉貴、姉御、天田のおっさんは
作戦の最終確認
「開始拠点は施設東の第二ゲートだ。
まず、グループBが煙幕で敵部隊の視界を塞ぐ。
次にグループAが突撃し、周辺を制圧
だが、敵の数は未知数であり、南のメインゲート同等に
かなりの数の兵がいる事は覚悟である事は再度把握してくれ。」
「敵の陣形が乱れて周辺から増援が集まったら
私とエリで対応」
「好多が中央突破して内部侵入
F.A.C.Eの指示に従いシシルの元に向かう」
「外が片付き次第全員で内部制圧
それまでにシシルを俺が救出」
「そうそう簡単に行く作戦ではありませんが…」
「行けるさ、俺たちなら」
姉貴にそう言い聞かせると
落ち着いたのか、微笑み返してきた
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9:58
作戦開始直前
姉貴が俺に話しかけてきた
「好多、内部には何があるかはわかりませんし
これから何が起きるかもわかりません。
だから」
「無茶はするな、命を優先にってか?」
「いいえ、あなたがやりきれたと思う所までやり抜きなさい。
絶対にシシルを助けて、私たちの所に帰ってきなさい。」
「…上等!」
索敵班の現在の調べでは
合計兵数60人
正面に10人
後方に
10人ずつのグループが二つ
入り口付近に15人グループが二つ
かなりの数である
10:00まで残り10秒
秒読みが始まった
9
8
7
6
5
4
3
2
1
グループBがアサルトライフルからスモークグレネードを発射した
正面のグループが煙幕に巻かれる
グループAが突撃した
グループBと索敵班
そして俺たち四人がその援護に入る
防衛軍は基本対人では実弾を使わない
だが、ウルフの部隊は確実に殺しに掛かってくるだろう
犠牲が出るかも知れない
自分が死ぬかも知れないこの戦況
今まで以上に気を張らなくてはならない
作戦開始から30分頃
中央に道が開けてきた
「好多!今だ!」
天田のおっさんの合図で俺がゲートめがけて突撃した
ブースターの出力を最大にして一気に突っ込む
内部に侵入した
ゲートから入ると目の前に見えるのは
一本道の廊下
その先には十字の道
そして道に立ちふさがる
大量の兵隊さん達
「F.A.C.E、突っ込むぞ…」
「了解デス」
ブレイザーに切り替える
峰打ちの要領で相手の気絶を狙い
着弾時の爆発で吹き飛ばす
これを何度やってシシルの元にたどり着くか
だが
絶対ここで倒れはしない
絶対に
~続く~




