A-22 勇気を武器に
19:27 エヴィリゴンとの戦闘後
助けたこの子の名前は「香山 賢」
避難の最中にエヴィリゴンの攻撃を受けて、両親とはぐれたようだ。
一瞬何かに期待した自分が馬鹿馬鹿しく感じる。
「で、どのエリアの避難所に逃げようとしたんだ?」
「Aの25…」
「F.A.C.E、どこら辺だ?」
「ココカラヒガシニムカッテ6kmサキ、ブースターナラ10フンカカリマセン」
「よし…行くぞ、賢」
「…もうダメだよ…」
「…何でだ?」
「あの時、エヴィリゴンの攻撃で瓦礫が落ちてきたんだ。パパとママは、僕を突き飛ばして助けてくれたんだ。でも、その瓦礫はパパとママの上に…」
父と母
もう何年間聞かない言葉だっただろうか
彼の気持ちは身に染みるほど分かる。
すると、F.A.C.Eが敵反応を確認した。
エヴィリゴンの向かう先には「A-25」
避難所のエリアだ。
「賢、行くぞ。」
「…でも…」
「ここでどうこうしたって仕方ねぇし、一緒にいないと逆に危険だ。」
セット・アップを完了
賢の手を掴み、低空飛行で敵陣に向かう。
A-22に到着、建物の間に賢を待たせる。
ブースターで敵陣に突っ込み
殴る 殴る 殴る
気がつけば、残りのアッファは半数を下回った。
自分のマハトの威力に、正直驚いている。
この勢いなら、すぐに片付く
と、思った矢先、赤い光が見えた。
それの数は八つ。
こちらに接近してくる。
プラズマーに切り替えて、ブレードで防ぐ。
防ぎきった直後に、何かが落ちてきた。
砂煙の中から現れたのは、巨大な蜘蛛だった。
「シキベツカクニン、インセクタータイプLEVELⅢ「スイブラス」」
「虫の割にはでかいな…」
「テキハ「セイチュウタイ」カナリノキョウテキデス」
スイブラスは、足の節部からレーザーを発射してきた。
命中するとすれば、体のあらゆる所に直撃するに違いない。
ブースターで空に飛ぶ。
が、レーザーは追尾してきた。
「イイワスレテイマシタガ、スイブラスハ「ホーミングレーザー」ヲハッシャ、ハイブカラ「イト」ヲダシマス」
「先に言えよ!」
問答してる間に、レーザーとの距離がかなり狭まっていた。
ブースターの出力を最大に上げた瞬間、粘った何かにぶつかった。
スイブラスは、背部からの糸で捕縛用の「見えない巣」を作っていたのだ。
動けなくなり、全レーザーの直撃を喰らった。
目が霞み、全身に痛みが走った。
「もうダメだよ…死んじゃうよ!」
賢が物陰から出てきた。
「もういいよぉ!戦わなくていいよぉ!」
まぶたを真っ赤に腫らして、今にも泣きそうであった。
「…そういえば、俺の親父の名前…言ってなかったな…」
「え…?」
「俺の親父の名前は…「月山ケン」…お前の名前と同じだろ…」
「…」
「親父はな…どんなことにも諦めずに立ち向かう人だった…俺も憧れてたよ。
でもよ、帰ってこなくなった。
7年前に、俺がたまたま、親父の机の引き出しの中から、捜索願を見つけたんだ。
姉貴は俺にばれるのが嫌で、ずっと隠して、自力で探し続けてたんだとよ。
でも、俺は信じてる…あの人は絶対に帰ってくるって。…だからよ…お前も…諦めんじゃねぇ!」
渾身の力で、糸を切った。
スイブラスはレーザーを発射、直撃ながらも耐え抜いた。
しかし、このままでは敵の思うがままだ。
せめて、一発で大ダメージを与えられる遠距離攻撃が出来れば…
「「フレイマー」ノシヨウヲテイアン」
「赤のボタンか?」
「ハイ、「イッパツデダイダメージヲアタエラレルエンキョリコウゲキ」ガカノウナモードデス」
は?
~続く~




