序章・第三部
『データショウゴウヲカイシ…ユーザーネーム「ツキヤマコウタ」デスネ?』
「…っあ、あぁ…そうだが…。」
突然装着した右腕の機械に、突然話しかけられて、あまりにも突然すぎる事態に
今俺は動揺している。
『ジコショウカイガオクレマシタ。
ワタシノナマエハ
「Fighter Attack Count Excel」
ト、モウシマス』
「いや、そんな長い名前覚えられねぇよ…。」
『デハ「F.A.C.E」ト、デモイッテオキマショウ』
「F.A.C.Eか…解った!」
と、話している隙に怪物の刃がこちらに向けられた。
避けたものの、左頬に刃が擦れた。
-痛い-
ただそれだけを思った。
再び怪物は姿を消す。
液晶モニターが光り、F.A.C.Eがしゃべり出す。
『エヴィリゴンデータ、ショウゴウカクニン。「ヒューマンタイプ・LEVELⅡ」コードネーム「ナイテレス」』
「エヴィリゴン…?」
『エイヴィリゴン:ミチノ「キカイセイメイタイ」デス』
-機械生命体-
機械なのか、生き物なのか
そんな疑問が頭を過ぎった。
だが、考えている暇は無い。
再び攻撃を仕掛けられる。
今度は何とかやり過ごした。
「F.A.C.E!あいつの能力って消えるだけなのか?」
『ハイ。ゲンザイノノウリョクハ「ステルス」ノミ。LEVELⅡハ、カンタンニイウナラ「ニンゲンノコドモ」ノジョウタイデス。』
「つまり、奴は成長中の段階って事だから、能力も一つしか無いと?」
『ゴメイトウデス。ソシテ、LEVELⅡノショキダンカイデモアリマス。』
「つまり、その「ステルス」も長くは使えないって事か。」
『キエテカラ、15ビョウゴニ、スガタヲアラワシマス。』
三度目の攻撃もなんとか回避。
服に擦っただけだった。
今思っているのは、異端児呼ばわりされてきたこの超感覚能力に感謝していると言うこと。
心を落ち着かせ、次の攻撃を待つ。
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4
3
2
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ナイテレスの刃が空気を斬り、背後から襲いかかる。
その瞬間、体を少し左にずらし、右腕の機械に刃を擦らせながら回避した。
どうやらナイテレスは、その一瞬が理解できておらず、動きに隙が出来た。
ナイテレスが正面を向いた隙に、目一杯力を溜めて顔面ストレートを噛ます。
続いてジャブ、ジャブ、ブロー、そして、アッパーで上に吹き飛ばす。
よろけ始めた。かなりダメージは効いている。
だが、決定的なトドメを刺さない限りはまず、俺たちに勝機は無い。
すると、姉貴が一斉に敵を撃破した技を思い出した。
「F.A.C.E!姉貴が敵をバババババっ!て倒した技、使えないのか!?」
『バババババ…?』
「ほら、えっと…ブラスなんちゃらみたいな…」
『「ブラスト・スマッシュ」デスカ?』
「それそれ!」
『グモンデスネ。ワタシヲバカニシテイルノデスカ?』
「てことは、使えるんだな!?」
『マズ、ミギウデノアームノ、シロイボタンヲオシテクダサイ』
言われたとおりに押す。
するとアーム背部から熱を感じた次の瞬間、バーニア噴射が起きた。
右腕が千切れそうな勢いである。
標準をナイテレスに向けるのが精一杯だ。
『アームノヨコニツイテイル、トリガーヲヒイテクダサイ。「ブラスト・スマッシュ:スペリングプロミネンス」ガハツドウシマス』
右腕が引き千切られそうになりながら、足を思い切り踏ん張って、左手で思いっきりトリガーを引く。
『BLAST SMASH!』
電子音が夜天に響く。
バーニア噴射の勢いはさらに増し、ついに地面から足が離れてしまった。
俺の体はナイテレス目掛けて飛んで行く。
ナイテレスの胴体に機械の先端が突き刺さった。
突き刺したまま足に力を入れて、思いっきりブレーキを掛ける。
そして、右腕に力を込めて引き、前に押し出す。
すると、バーニアの噴射は止まり、同時に巨大な光弾が反動で発射。
ナイテレスの上半身を吹き飛ばし
光弾は巨大空母に直撃、母艦は火花を噴いて崩れ落ちた。
~続く~




