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救世のグランド・セイバー  作者: S・セリザワ
21th Attack「逆転の星々」 
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序章・第二部

現在、俺は全く状況が理解できていない。



 起きたことを落ち着いて考えてみよう。



1、まず俺は警察署から帰る最中だった。

2、姉御も途中で合流した。

3、姉貴に押し倒されて謎の爆発を回避した。

4、姉貴と姉御が変な服に着替えた?

5、銀色の怪物と戦い始めた。




 ダメださっぱり整理できない。

と、思っている間に次々に二人は怪物を打ち落とす。


「ったく…キリが無い…!あいつ等、空間移動出来ないんじゃ無かったの!?」

「もしかしたら、移動可能な空母が出来たのかもしれません。もしくは移動システムを自ら完成させたとか…!?」

「…どうやら前者みたいね…!」



 突然空中に黒い穴が開き、中から巨大な飛行機状の物体が現れた。

物体からは、銀色の怪物が大量に落ちてくる。


 二人は地上に落とすまいと、ひたすら撃ち続ける。



すると、一筋の光が物体から落とされ、地面に激突した。

土煙の中から、人型をした影が現れる。




「ヒューマンタイプ…!?好多、逃げて下さい!」




逃げろと言われて簡単に逃げられるわけが無い。

足が震えてどうしようも無かった。


「好多!」



空にいたはずの姉御が、瞬時に俺の前に立った。



「こんのおぉぉぉぉぉ!」



二丁の銃が突然、二丁の剣に姿を変えた。姉貴はそれで斬りかかる。


 怪物はそれを腕で防ぐ。


 すると、怪物の腕から刃が出た。と、思いきや突然姿を消した。



 一瞬だけ、姉御の後ろに気配を感じた。


「…姉御っ後ろだぁ!」


言うのが遅かった。怪物は姉御を切りつけて再び消えた。



「エリ!うぉおぉぉぉぉぉぉ!」

『BLAST SMASH!』


銃から電子音が流れると同時に、姉貴は乱射

すると弾丸は空中に停止した。



「シュゥゥゥゥゥゥトォッ!」


叫びと共に弾丸は怪物の群れに向かって飛び、次々に撃破していった。

この攻撃により、どうやら怪物達は混乱状態に陥ったらしい。


「エリっ!」

姉貴も瞬時に移動した。



「大丈夫ですか、エリ!?」

「何とか…お姉ちゃん…。」

「はい…?」

「これ、使わせて貰うから…!」


姉御はポケットから赤と青のブレスレッドを取り出した。


「…!?ダメです!それは私たちには使うことが出来ません!」

「やってもないのにそんなこと言うんじゃないの!」


姉貴を振りほどくと、右腕に赤、左腕に青のブレスレッドを付けた。



「行くわよ…!セェェェトッ…アァァァァプ!」


ブレスレッドを交差させた瞬間、姉御は後ろに吹き飛んだ。


「エリっ!」

「姉御っ!」

「あっちゃ~、ミスった~。」

「…エリ…それを貸して下さい。」


 姉貴は姉御からブレスレッドを受け取り、再び同じ動作をする。

しかし、姉貴も後ろに吹き飛んだ。


 ここまでで分かるのは、今が絶望的だと言うこと。

そして、切り札みたいなモノすら使えないと言うこと。


 そして、もう一つ分かったのは




「姉貴、それって“稀少技能者マハト”にしか使えないってことか…?」

「「!?」」


どうやら的中したらしい。



「…貸せ…」

「ダメです…!」

「貸せ…!使える奴が使わずに「死ぬ」のと、使える奴が使って「死ぬ」の…どっちが良い…!?」


二人は互いに顔を見合わせてから、何かを認めるかのように俺にブレスレッドを託した。

「好多…絶対に死なないで下さい…。」

 両腕にそれぞれのブレスレッドを巻いて、二人に微笑んだ。



もし…この戦いが、誰かの為になるかとしたら…



信頼の無い俺が、この戦いで、誰かの為になるかとしたら…





喜んで死んでやる。





「セットォォッ・アァァァァァップッ!」


俺の周囲が眩い光と蒸気に包まれた。

全身が暖かい太陽光を浴びているような

そんな感覚。




そして、気がつくと、俺は紅い服に身を包んでいた。

右腕には巨大な鉄の塊、いや、これはモニターが付いているから機械の塊だろうか。そのようなモノがが装着されていた。


すると、機械のモニターが青く光って





『システムノキドウヲカクニン。ゴキゲンヨウ、セルマハト。』


~続く~

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